音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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アメリカの小学校でお箸の使い方を授業してきました

アメリカの小学校に通う小学1年生の娘のクラスで、お箸の使い方について授業をしてきました。年度はじめに、「クラスで何かゲストティーチャーとして話せるテーマがあれば書いてください」という紙があったので、「日本、ピアノ、本の作り方」と書いておいたら、娘の担任の先生から「何かお願いできないかしら」というお話があったのです。

日本について何か知ってもらいたいけれど、1年生は日本がどこか、アフリカがどこかも知らない子が大半だし、お寿司はこっちでも人気。それに、毎日お弁当箱と箸箱を持っていっているうちの娘の「お昼」、けっこうお友達には珍しいみたいなんですよね。先生とも相談して、「お箸」をテーマにしてはどうかということになりました。

レストランでアメリカ人を見ると、みんな割りとお箸を上手に使っているんですが、時々いい大人が握り箸で持って箸をお肉に突き刺していたりするんです。あれは日本人から見るとすごく変なので、あれはやめようね、ということを伝えておきたかった。

それと、日本食とかお寿司って、好きなおうちは頻繁に行くみたいですけど、行かない家はまったく縁がないらしい。そういう家庭の子どもたちに、箸を持つという経験をしてもらいたかったのです。

30分の授業時間のなかで、まず最初の10分ぐらいは私の説明。お箸の持ち方や、フォークのように突き刺すのは、ご先祖様にご飯を供えるときだけなので縁起が悪いこと、歩きながらお箸で物を食べると転んだときに危険なので絶対やめようという話をしました。

クラスのなかでお箸を使ったことがある子は、半分ぐらいいました。

ひととおり説明したあとで、今度はひとりひとりに割り箸を配って、持ち方の練習です。ここは私と娘と、担任の先生とで手分けして持ち方をチェック。

えんぴつと同じように、といっても、鉛筆を持たせても指先がふにゃふにゃで筆圧がまったくなさそうな子が数名。ははぁ〜、これが、アメリカで長くピアノを教えていた中村菊子先生がおっしゃっていた「アメリカの子の手は大きいけれどマカロニみたいでふにゃふにゃ」っていうことですね。こういう子たちは、指先に力をうまく入れられないみたいなんです。"it's hard"といって苦戦していました。もちろん器用な子もけっこういて、「初めて」といいながら、教わったらすぐにちゃんと持てていました。

1クラス20人なので、なんとか全員をチェックするのに10分。それから、今度は「まめうつし」ならぬ「ちっちゃく切ったスポンジうつし」。まめはあまりに難しいので、食器洗いに使うスポンジを2センチ角ぐらいの立方体に切って準備しておいて、それをお箸でつまんで小さな紙コップに入れるというゲームをやりました。

本当はよーいどんで競争したかったんですが、出来ない子がかなり苦戦していたので、各自、お箸でスポンジをつまんでカップに入れてみるだけで精一杯でした。出来る子は「できたよ〜」っていうので「もう1回、もっとすばやくやってみて」とアドバイス。でも結局、うまくできなくて、太鼓のばちをもつみたいに両手にお箸を持って、それではさんでいた子とか、手でスポンジを持っていた子とか、ズルをしていた子も数人いましたけど(笑)。

そんなわけであっという間に30分は終了しました。

私はたいして難しい英語はしゃべってませんが、それでもちゃんと通じるか不安でした。でも娘に聞いたら「大丈夫だったんじゃない?」とのこと。事前にしゃべる内容を全部書き起こして、家庭教師のギャラント先生に添削してもらって練習しておいたから、まあなんとかできたようなものですが、10代の頃とちがって、もう簡単には文章が覚えられませんでした。

その場で英作文しながら話しているから、きっと時制や単数複数、冠詞はかなり間違いがあったに違いない・・・。それでも、生徒たちも先生たちも喜んでくれたようで、「お箸を家に持って帰りたい人は持って帰っていいわよ」といわれ、「いらない」といって私に返した子はひとりだけでした。お役にたてたみたい。ほっとしています。