アメリカに来てから4年、ジャケットもヒールも必要ない毎日になりました。毎日ジーンズしか必要じゃなくて、つまんないなー、おしゃれしてスカートでもはいてお出かけしたいなと思いつつ、普段着にお金をかけることに抵抗があって、あまり洋服には投資しないで3年ほど過ぎました。
昨年の秋に、娘が小学校に入り、朝から3時まで学校にいることになり、息子とふたりで過ごす時間が長くなりました。午後のお昼寝をさせるために、どこかドライブに出かけなければならなくて、よく行くようになったのが、車で5分ぐらいのショッピングモールにある「アンソロポロジー」というお店です。フリーピープルというブランドが日本には入っているのかな、そこと同じ会社がやっているみたいです。
そこには、もちろんハレの日のためのシルクのワンピースも売っているんですが、普段着にするのにとても可愛い赤と紺のボーダーのTシャツとか、グレーのショールネックのTシャツとか、グレーに赤紫の水玉が浮いたロングカーディガンとか、紺地にピンクのお花のプリントがされている50年代カーディガンとか、ジーンズでもAG、JOES、J BRANDなどのスリムからクロップド丈、スキニーなどよりどりみどり。さらには食器とかベッドリネン、そしてアンティークっぽい家具も売っているんです。いつもアロマキャンドルの香りがする店内をぶらぶらしているだけでも「うわ〜可愛い!!!」とうれしくなってしまいます。
お店にはデコレーション専門のアーティストが定期的にやってきて、新聞紙で作った高さ2メートルぐらいのダチョウとか、ペットボトルの底をお花の形に切り開いてアクリル絵の具でペイントしたお花を自転車の車輪を土台にして無数に飾り付けたりとか、ハイセンスで不思議なアートをいつも見ることができます。
しかもこのお店のすごいところは、いつでも洋服を返品できること。
買って1年ぐらいたって飽きてしまった服でも、返品して、代金をそっくり返してもらえるんです。
そんなことして本当にお店の経営大丈夫なの??? と思うんですが、この方式にはやられました。返品できるし、売り切れる前にとりあえずキープしよう、まずは買ってしまう、という行動に出やすくなるんです。商品の回転がすごく速くて、入荷して一週間以内に自分のサイズの服がなくなっているということも時々あるぐらい。私もこれまで10回以上は返品していますが、返品するかもと思って買ったけれど結局よかったので返品していないもののうほうが多いです。
毎週火曜日になると(というのは、私があまりに頻繁に店に行っているからこっそり店員さんに教えてもらったんですが)お店の奥にあるセールの小部屋に値下げアイテムが移動します。目をつけていた品がここに移動していないかまずチェックです。そしてすでに定価で買ってしまっていたものがセールになっていたら、セール価格で買い、正規の値段で買ったものを返品します。それからときどき、最後の1点になって売れ残っているものは、130ドルのものが30ドルぐらいで買えることもあり、宝探し的な楽しみもあります。
日本には上陸していないようなんですが、ニューヨークやサンフランシスコをはじめとして、全米にお店があります。ウェブサイトで通販もしていて、これがまた日本には送ってもらえないんですが、繊細でアーリーアメリカン、少女っぽい要素も少しありつつ、落ち着いた雰囲気もあり、見ているだけですぐに時間がたってしまいます。
http://www.anthropologie.com/anthro/index.jsp
そんなわけで、私がアンソロで見つけてくるのは普段着ばかり。洗えるワンピースも2枚ぐらいありましたが。それまでは「どうせ取材に出るわけじゃないし、なんでもいいや」って服を選んでいましたが、今日は誰にも会わないから(学校の送り迎えはありますが)、ちょっと奇抜な服でも大丈夫、今日はお友達に会うからそれなりに普通に、今日は公園に行くから泥がついてもいいように、・・・そんな些細なことでも、考えるのがささやかな楽しみなのです。