音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

セミナースケジュールはこちらです。 山本美芽オフィシャルサイト

キッザニア東京でお仕事体験 2012年8月30日

夏休みの最後に、子どもたちをつれてキッザニア東京に行ってきました。
だいぶ時間がたってしまいましたが、記録として書いておきます。

キッザニアは、さまざまなお仕事を子どもが体験できる小さな街になっていて、中学3年生までがお仕事体験できますが、大人は完全な付き添いです。体験できるお仕事は90種類ほどあり、パイロットやフライトアテンダント、お菓子工場、ピザ職人、橋の建設(大林組による)、コカコーラの工場、病院など、驚くほど多くのお店や工場が出店しています。

6月ごろにキッザニアのホームページで予約しようとしたら、すでに夏休み前半は埋まっており、終盤の30日が残っていたので、その日に予約を入れました。1部と2部で時間がわかれていて、うちは1部のチケットを買いました。当日は、豊洲のららぽーとにあるキッザニアに8時半に到着を目指して、6時前に起きて、6時半に家を出て、7時前の電車に乗り、平日朝のラッシュのさなかを新宿、市ヶ谷と過ぎて、有楽町線に乗り換え。ぶじ豊洲に8時半ごろ着きました。

駅を降りると、小学校高学年男子とお母さんが走っています。わあああ、なんか走らなきゃいけないかも。高学年男子のスピードは出せませんが、小走りでららぽーとに向かいます。駅から5分ぐらい? ららぽーとに入り、エスカレーターで3階に行く途中で、午後の部のために並んでいる行列を発見。なにそれ?? すごく心配になってきました。案の定3階につくと、すさまじい長蛇の列。列の最後に並んだ瞬間から、秒単位で列がだーーーーーと伸びていきます。げげげ。持参の水筒で子どもたちも私たちも水分補給。

しかし列はどんどん進み、9時10分前には入場できました。子どもたちの目当てである、パイロットとフライトアテンダントの体験をしようと、すぐにANAの飛行機のところに行くと、10時から体験できるので予約して、それまで予約のないお仕事をしていてね、とのこと。

どうやら、どこも一度に体験できる子どもは8人程度で、その枠が30分ぐらいということのようなんです。お菓子工場などもそうですが、人気のお仕事は、朝いちばんに全部の時間が埋まってしまうようですね。ですので、人気のお仕事は、朝いちばんに予約するのが良いそうです。

疲れきっていた私はモスバーガーを発見して、子どもたちを普通にご飯を食べました。まだ朝の9時だけど…朝ごはんも家で食べてきたんだけど…お腹はぺっこぺこでした。そして、子どもたちは有機野菜のやでぃっしゅぼーやのお店で「お客さん」役を体験。バナナを買ってきました。次に、はとバスに行き、こちらも「お客さん」役で、バスに乗り、キッザニアの街を1周。はとバスのお姉さんを体験するには、もっと待たなくちゃいけないようですね。ここで気づいたんですが、ANAのブースで受付していた人は、ANAの制服そのまんまだし、はとバスのお姉さんも完璧にはとバスの制服。キッザニアで募集してきたスタッフじゃなくて、ANAとかはとバスから出向してきたのかな?と思わせる本物感です。

時間になったので息子はパイロット、娘はアテンダントさんの体験に。入り口の上に、本物? の飛行機の機体を輪切りにしたものが、高いところにどーんとあるんです。子どもたちは階段でそこに入っていきます。親は画面で見るだけです。パイロットは帽子に制服を着せてもらって(4本線入りの機長の服です)、フライトシミュレーターに座り、各自、離陸や着陸など操縦をします。アテンダントのほうは、まずお客さん役をしてから、アテンダント役をするので、パイロットの倍、50分ぐらいかかりました。

アテンダントは、エプロンを着て機内食を配る係と、制服を着て、非常口の説明などをする係に分かれたそうで、うちの娘はエプロンを着て機内食を配る係をしていました。この前沖縄に行くとき、ANAのアテンダントさんを見ていますから、本物そっくりのエプロンが子ども用になっていて、スカーフもしてもらって、ちょっと、なんだか本物のANAのアテンダントさんみたい!! 私のほうが興奮していました(爆)。

他に体験したお仕事は、発明家になって模型飛行機の設計をするのと、消防士。消防署で「番号1」「2」「3」「4」と、ものすごく速く整列する練習を何度もして、いざ消防車で出動。オレンジ色の制服に着替えて、燃えている建物に、ほんとうの水を何分間か放水して消火します。かなりドラマチックですね。

ほかに、三井住友銀行があって、子どもたちだけで口座をつくっていました。キッザニアの中のお札があって、そのATMもある。さらにクレジットカードも作ってました。お仕事をするとお金が「キッゾ」でもらえて、三越などが出店されているので(店員には子どももいる)、そこで買い物なんかにも使えるんですね。

音楽スタジオではミュージシャンも経験しました。娘はドラム、息子はトライアングル。スタジオの中に入って、ヘッドホンをつけて楽器を構えます。曲は「キッザニアの歌」。何度か練習して、カラオケにあわせて演奏した様子があとでDVDでもらえます。娘がドラムを選んで挑戦していたのが、母としてはちょっと嬉しかった…わりとこれまで母が「やってみなさいよ」とそそのかしても、「えー・・・いいよ」といって敬遠するタイプの娘でしたので、「やりたい!」という言葉に、成長を感じました。(熱帯ジャズ楽団に連れて行って「あれが神保彰さんよ! すごいでしょ!!」としつこく教えた甲斐があった・・・のかどうか、わかりませんが)。

ただ、電子ドラムだったんですよね。ピアノも電子ピアノだったな。録音のことも考えると、いろいろ難しいと思うけれど、TAMAとかヤマハの本物のドラムに、グランドピアノを置いてもらえたら、もっとすごいと思うんですが・・・どうでしょうね、石丸電気さん。

そんなこんなであっというまに3時になり、写真コーナーをチェックすると、1枚1000円で、子どもたちのアテンダントさん・パイロット姿の写真を発見。消防士やスタジオミュージシャンの写真もありましたが、予算の関係で、飛行機のお仕事2枚だけ買って、帰りました。

夕方5時ごろ自宅に着きましたが、もう、ぐったり…。しかし、子どもたちは、キッザニアから帰ってきた翌日から「今度いつ行けるの?」と言い続け、9月下旬になった今も「いつ行けるの?」と毎日私に尋ねてきます。そして暇さえあれば、キッザニアの地図を広げ、「こんどは何のお仕事しようか」と、きょうだいふたりで相談しています。「・・・おりこうにしてたらね・・・」と伝えていますが、これじゃ、冬休みも連れて行ってあげないと、かわいそうかなあ。

私が子どものころにはキッザニアなんてなかったし、大人はキッザニアでは完全に付き添いで体験もできないから、つまんないですね!!! 私も子どものころ、行きたかったな。でも、逆にいえば、大人は、いつも主役なんです。お金を自分で使って、好きなところに行ったり好きなものを買ったりできる。子どもにとって主役になれる経験は、ほんとうに夢のようなのだろうなと思います。

この前クルーズの雑誌を読んでいたら、アメリカやヨーロッパの先進国のお客さんは、船の寄港地で、体験型のツアーを好む。中国のお客さんは、体験にはそれほど興味がなく、買い物が大好き。とありました。キッザニアはまさに「体験型」。欲しいものはゆきわり、成熟した消費の日本社会の子どもたちに適したテーマパークなんでしょう。

すべてのお仕事が、企業による協力によって運営されており、本物感がすごかったです。単に制服とかのレベルではなく、たとえばヤマト運輸の営業所では、ホワイトボードとか事務所の中にある備品が、ぜんぶ街で見かける普通の営業所と同じものを使っていましたし。病院もあったんですが、白内障の手術をするための部屋には手術台に顕微鏡があったり、新生児をお世話する部屋もあったり、すごくリアルなつくりになっていました。

子どもたちが8人程度のグループに対して、大人のスタッフが数人で対応してくれて、たいへん一対一の対応が多い、これは遊園地などとは違う、人件費を贅沢にかけたキッザニアの特筆すべきところですね。しかもそのスタッフがかなりそのお仕事についてよくわかっていて、なかなか良い指導をしてくれていました。

そうそう、消防士の体験のとき、2時ごろになっていて、早起きした4歳の息子は眠くなってしまい、「もうやりたくない」とぐずっていたのです。それをスタッフが一生懸命なだめて参加させてくれて、消防車にも乗りたくないっていっていたのをなんとか乗せてくれて、消火活動のところまで行って、手をとってスタッフの方が放水を教えてくれました。そのころには、ようやくやる気が出て、最後には、息子は「楽しかった」といって笑顔になって帰ってきました。スタッフの方の見事な対応には感謝でした。

子どもふたりと私で、チケット代が1万円ちょっと。払うときは高いなと思いましたが、これだけの設備と、人件費をふんだんに使って子どもに丁寧な対応をしてくれていることを考えると、じゅうぶん妥当な値段と感じました。まあ、現実のお仕事はキッザニアみたいに楽しいことばかりではないですけど、それでも、十分に体験する意義はあるでしょう。一番楽しめるのは小学生ですね。地方からでも、小学生のあいだに一度は来させてあげるだけの価値はある場所だと思います。

証券会社プロデュースのファイナンシャルプランナーとか、新聞記者などは、大人になってみれば高学歴の人にだけに許されたステイタスのある職業ですけど、キッザニアでは子どもたちにはあまり人気がないみたいで、すごく空いていました(爆)。この落差がいいですね。中学生ぐらいならともかく、小学生の子どもたちまで「やっぱり金融でしょ」だの言っているようじゃ、なんだかつまらないですもの。

あっという間に過ぎてしまう子ども時代。親のほうも忙しくて、してあげられることは限られます。ピザ職人の体験なんか、キッザニアで並ばなくたって、うちでピザを作れば同じだし、パンを実際に家でつくればパン職人の体験ができる。電車や飛行機のお客さんだったら、お出かけすればできるし…、そう、日常生活でも、お仕事体験のもとはあちこちに転がっているんですね。「おっと、キッザニアに行かなくても、これだってお仕事体験になるでしょ?」と気がつくようになったこと、それが私にとっては一番の収穫となりました。