音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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常識は国によって違う。アメリカで出産してみて(1)

忘れないうちに、アメリカでの出産をふりかえっておこうと思います。

音楽とは全然関係ないですけど、でも、「こうじゃなきゃいけない」「こういうものだ」と思っていたことが、別に「そうでなくてもよかった」という…「常識」とか「普通」が国によって場所によって全然違うケースとして読んでもらえれば幸いです。

アメリカでの出産。言葉の問題はしんどかったのと、保険などの支払いシステムが謎が多くて困ったものの、看護婦さんにあまり細かいことでうるさくいわれず、精神的に楽だったし、母体のケアも結構ポイントは押さえられていて体も楽でした。

まず、妊娠したらビタミン剤を飲むようにいってサンプルをもらいます。葉酸という神経管の発育に大事な栄養や、鉄分、しかも便秘にならないような薬まで全部入っているのです。日本では「栄養に気をつけましょう」といわれ、貧血になってから鉄分を飲みましたが、今回はビタミン剤のおかげで貧血にならずにすみました。

また、妊娠中の体重増加について、日本では7キロまでといわれ、ちょっと増えると病院でものすごく怒られますが、私は今回20キロ増えちゃったにもかかわらず何も怒られませんでした。もちろん糖尿病とか蛋白尿といったトラブルがなかったから、別にいいんじゃないということだったのかな??

日本では毎回の検診で超音波で赤ちゃんを見て、身長を測りますが、アメリカでは超音波は妊娠中期に1回だけ。そのときは心臓の部屋の数から骨の数や形まで全身の状態をチェックします。性別もこのときわかります。

この超音波のとき一緒に染色体異常がないかどうか調べる「羊水検査」もポピュラーで、35歳以上だった私は「基本的にやる方向」でいろいろ書類をもらいました。

検査をするかどうか少々悩みました。まず血液検査をして、異常の確率が高いかどうかわかるそうなので、まずそれをやってもらいました。そこで、異常がある確率は低かったので、羊水検査はやりませんでした。

日本では、「羊水検査するの? お腹の子に障害があったら産まないの? ひどくない?」といった空気を感じていましたが、アメリカはそうではないんです。検査をする場合には、お産まで安心して過ごすため異常がないことを確認したい、もし障害があったら設備のあるところで産む、等々の理由もあるんだとか。

 血液検査の数値を見るときに、35歳以上になるとそれ以前に較べてどれだけ染色体異常が激増するかの表も見せられ、いろいろ専門家から話を聞かされました。
 
 36歳で出産なんて別に普通のつもりでしたが、妊婦としてはやはり特別なケアが必要なグループに分類されるんですね。

 そしてなんといっても無痛分娩はものすごくよかったです。

 日本で産んだときには、結構痛い状態で3−4時間、激痛に5時間ぐらい耐えてやっと産まれました。しかし今回は、結構痛い状態が1時間過ぎ、そこで麻酔をお願いし、30分ぐらいで麻酔の先生が来てくれました。その後は、多少は痛かったですが、どうってことはなかったです。

 麻酔の針を刺される瞬間はちょっと怖い気がしていましたが、韓国人の麻酔科医の先生が、刺す直前に「ねえ、このへんの日本食レストランどこが好き?」ときいてくれて、「えっ? I like…」と、必死に英語でしゃべっていたので、リラックスしているうちにぶすっと刺してもらい、あまり痛かった記憶はありません。

 麻酔をしてからは軽い鈍痛程度で、どっと疲れが出て眠くなり、うとうとしていました。でも何か、赤ちゃんが出てきそうな圧迫感で目が覚めて、看護婦さんを呼ぶと「髪の毛が見えているわ!! 産まれるわよ!!!」とのこと。最後に産むときは、ふーーーんとふんばります。このとき麻酔のせいで、なかなかうまく力が入りませんでしたが、何度もふんばり続け、無事産まれました。足はしびれているけれど一応動かすことができ、痛くないけど感覚はある…といういい具合に麻酔が効いていました。
 
 日本では、赤ちゃんが産まれたらどこかへ連れて行かれて、しばらくしてからやっと抱っこさせてもらえたのですが、今回は、おぎゃあと産まれた赤ちゃんのへその緒を切り、体をふいた状態にしてくれて、おそらく2−3分後に「はいどうぞっ」とタオルにくるまれた赤ちゃんを抱かせてくれました。産まれたてほやほや!!!! この世に出てきたばかりなのに、もごもごと手足を動かし、まあ元気でかわいいこと。おっぱいを含ませると一生懸命吸おうとします。

 しばらく抱っこしてから、体重をはかったり服を着せたりと看護婦さんがお世話をしてくれて、1時間ぐらいで車椅子に乗り、別の病室に移動します。もちろん赤ちゃんも一緒で、母子同室! 日本で産んだときは、もうボロボロで全身痛くて起き上がれない、歩くなんてとんでもない状態でしたが、今回はさすがに疲れてはいましたが、動けるし、歩こうと思えば歩ける。麻酔のおかげで体力の消耗が少なく、自分でもびっくりするぐらい元気でした。もちろん2回目のお産なので、さらに時間が短かったのでしょうが。

 日本の病院では…といっても私が産んだ病院の場合ですけど、お母さんは大部屋、赤ちゃんはそのとき入院している赤ちゃん全員を集めた部屋にそれぞれ分かれていました。でも今回は母子同室、ずーっとおっぱいをあげて自分でおむつをかえて、自分でお世話しました。うーん、麻酔なしだときつくてバテてしまったかもしれないけど、麻酔のおかげで元気だったので、なんとかできました。

でも、ちゃんとナーサリーという赤ちゃん部屋というのもあって、希望すればそこで看護婦さんに見てもらって、自分は寝ていることも可能でした。産まれて2日目の夜には、夜中の3時半まで赤ちゃんがずっと泣き通しだったので、看護婦さんを呼んで赤ちゃんをナーサリーに連れて行って面倒を見てもらい、休むことができました。

うわ、なんだかすごく長くなってしまいました。書いているうちに、どんどん思い出してくるものですね。続きは後日。

海外で安心して赤ちゃんを産む本
海外で安心して赤ちゃんを産む本
ノーラ コーリ,Nora Kohri

難関だったのが病院での英語。硬膜外麻酔はエピデュラル、お産はデリバリー、陣痛がレイバー 等々、お産の前にはカレンダーの裏に単語を書き出して貼り、毎日音読して必死に覚えました。受験のときより真剣だったかもしれません(苦笑)。