本屋さんで哲学書コーナーの前を通ったら、
「なぜ私たちは、喜んで資本主義の"奴隷"になるのか?
新自由社会における欲望と隷属」フレデリック・ロルドン著
という本が目に入りました。
帯には
「やりがい"搾取”」
「”自己実現"幻想」
を粉砕するために
・・・とありました。
なんだかものすご〜く気になって、買って読んでいます。
音楽業界=待遇悪い、とはいいませんが、他業種と比べて、
正社員のポストが多くて、仕事と育児の両立が容易で、長い間働きやすく・・・
というのは難しい状況。もちろん優秀な方には良い条件のポストがありますが。
方ないことなんだろうな〜とは思っていましたが、これは、何か
資本主義をとっているがための、何か構造的な作用が働いている??
そう思って読み始めましたが、
難しすぎて苦戦しています。
「捕獲のためにせっせと働くことは自分自身の"自己実現"のため
に働くことであると信じ込ませることである」(p193)
というくだりが少しわかりやすいのですが、ふだん私たちは
毎日暮らしていくのにお金が必要、そのために仕事をしているわけで
すが、その仕事に”自己実現"が絡むと、仕事が楽しくなってくる。
でも、用意された仕事という存在そのものが、誰かが仕組んだ
もので、それが自分の自己実現だと信じ込まされているのではないか?
世の中、いろんな情報が流れていますが、その多くが、
あきれるほどに、誰かが自分のビジネスのために発信しているもの
ばかりです。
ま、仕方ないんですが。
ロルドンさんみたいなことを言っても、おそらく儲からないと思う
のですが、学者さんというのは、儲からないから誰も言及しない真実
を、あえて言っていることがあります。だから、時々チェックしてお
く必要があると思うのです。
自分では自己実現だと思っていること、実は、誰かに思わされてい
るのではないか?
私の場合…子どもたちに英語やらピアノを一生懸命やらせています
が、それはもしかして、英語やらピアノを飯の種にしている方々の
思惑にのせられているだけなんじゃないか!? とか(爆)。
いいピアノってやっぱり違う〜といって、ペトロフのグランドまで
買ってしまったけれど、それは、単に、ピアノメーカー業界の思惑に
のせられているだけなんじゃないか? とか。(爆)
逆にいえば、ビジネスの「仕組み」を作った人の恩恵に甘んじている
ということでもある。だけどそのビジネスの中に組み込まれるということは
思惑にのっていることでもある。
自分にとって本当に、そのビジネスの利用がメリットになっているのなら
良いんですが・・・果たして本当にそうなのか?
絶対的なもの、大事なもの、自己実現だと思っているものを、別の
視点から、ちょっと冷静に見るためには、こういう考え方も時には
いいんじゃないかなと思います。
- 作者: フレデリック・ロルドン,杉村昌昭
- 出版社/メーカー: 作品社
- 発売日: 2012/11/10
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