音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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「世界で勝負する仕事術」竹内健 読了

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)

世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記 (幻冬舎新書)

カリスマブロガーの、ちきりんさんが推薦していたので読んでみました。
東芝フラッシュメモリーという半導体の開発にたずさわり、スタンフォードでMBAをとり、東芝に戻ったけれどうまくいかなくて東大の先生になったという、著者の半生が綴られています。

私の夫は半導体のエンジニア。アメリカ転勤も、夫の会社の工場がある場所に行きましたので、少しだけなら半導体用語も聞いたことがありました。この本でいろいろ説明を読んで、夫に説明してもらって、改めてよくわかったことがいくつか。

ハードディスクは磁石を近づけたら記録が壊れてしまうけれど、フラッシュメモリは、電子がマイナスになっているかどうかで0と1の記号を作っているので、磁石を近づけても壊れない。

ipodで使っているのはフラッシュメモリーなんですね。

グーグルはハードディスクで膨大なデータを保存しているわけですが、そのサーバーは熱を出してとても電気をくうので、アメリカとカナダの国境地帯の寒いエリアに置かれているそうです。フラッシュメモリーはハードディスクにくらべたら非常に電気の使用量が少ないため、LED電球的な将来性があるとか。

著者がスタンフォードに留学したとき、TOEICはほぼ満点で、英語でのビジネス経験もあったのに、授業の英語についていけなかった、というのがちょっと驚きでした。しかしそこで、2年間という限られた時間で、猛烈な勢いで挽回してちゃんと卒業しているところがすごいです。

でも、こんな優秀な人でも、英語のリスニングで苦労しているのかと思うと、ほんとうにテレビを見ながらリスニング貯金を日々続けて、耳をつくることの価値を改めて感じました。音楽でも英語でも、聴く力を育てるのには、集中して数年単位、少しずつだと10年単位で、ものすごい時間がかかりますからね。

「走りながら考える」というフレーズが本書に出てきました。それぐらいのスピードをもって決断しないとビジネスでは勝てないと。まったく同じことが猪瀬直樹さんの「決断する力」にも出てきましたね。

ワーキングマザーとしては、赤ちゃんが生まれてから2年ほど、走る自由がありませんでしたので、仕事をしている男性は、走る時間があって恵まれているな、うらやましいな、とか、正直いって思いましたね。ひとりで歩いたり、走ったりできる時間は、ほんとうにものを考えたり、決めたりするのに最適ですが、子どもがいると、そういう時間は…ほんとうになかった。ひとりで歩きたい、走りたい、というのが願いだった時期がけっこう長かったです。

しかしもちろん、ここでいわれる「走りながら考える」の「走る」は、実際に走っているかどうかではなく、思索にはまったく向いていない喧騒のなかでもめげることなく、何か手を動かしながらでもガンガン考えて決断し、状況にあわせてさらにその判断は修正しながら動き続ける、そういう意思の強さと推進力が必要である、ということを指しているのでしょう。