音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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カリブ海旅行記 その3 アンティグア、バルバドス、セントルシア

船はさらに南下。だんだん南米に近づいていきます。小さな島が点々と南北に続くエリアへ。英領、仏領といった植民地のままの島もありつつ、私たちが訪れたアンティグア・バーブーダバルバドス、セントルシアは、いずれも独立国なのでした。

アンティグアの港には3隻のクルーズ船が。巨大な船も接岸できる立派な港なんですが、降りたその先は、うーむ、私が生まれ育った人口5万人の幸手駅の駅前ぐらい? という規模の小さな町なんです。ここ、首都なんですけど。消費税がゼロなので、宝石店や高級ブランドを扱うお店もあるんだけど、でも規模はちっちゃい。人口は7万人だそうで、うーむ、やっぱり幸手とたいしてかわらない。

ツアーに出かけるために乗り込んだバスがなんと、マイクロバスでした。あれ? 黄色い三角のスクールバスマークが。日本の幼稚園バスを中古で輸入してそのまま使っているんですね。静岡のカラオケボックスのマイクロバスも。日本以外にもいろんな国から持ってきた模様です。右ハンドルなのでそのまま使えるのでしょう。

さて、幼稚園バスもどきのマイクロバスに乗り込んで観光に出発しました。古い植民地時代の砦や、造船所の遺跡などを見て回ります。ここはマイアミから船で来た場所で、ヨーロッパに近いとも思えないのに、イギリスの提督がどうのこうのと、ほんとに昔はここまでヨーロッパから攻めてきていろんなことがあったんだなあ、と実感。昔はろくな船もなかっただろうに、よくもまあヨーロッパからここまで来たなーとか。

午後からはビーチに行って海水浴をしました。この日はすごくビーチがすいていて、暑さもほどよく、海はやっぱりエメラルドグリーンで、申し分ない美しさ。あったかい海。ビーチでのんびりできた度合いは、この日が一番でした。

でもこんな場所にある島で、人口も7万人じゃ、すごく難しい病気の治療とか、大学とか、国内でまかなうのは到底無理だろうし、食料品だって、家を建てる材料だって、みんな輸入するしかないだろうなー。大変そう…。スーパーらしき建物も途中見ましたが、ちっちゃな二階建て。アメリカで見慣れた巨大スーパーの類と比べるとあまりにも粗末に見えました。

4日目。カリブ海でいちばん東にある赤道に近い島、バルバドスに着くと、クルーズ船がなんと5隻もいるではありませんか。1隻2000人としたら1万人? わーお。クルーズターミナルに下りると大変な混雑になっていました。新宿駅とはいいませんが、立川か大宮ぐらいの感じでしょうか。外に出るとバスやタクシーが何十、いや百台以上入り乱れ、現地の案内の人やら観光客やら、クルーズ会社のスタッフとかも入り乱れ、もうわけがわからない状態に。
 ここで申し込んでおいたツアー会社の人が1時間待っても迎えに来ない、という緊急事態に。しかも猛烈に暑い。8月の東京並み。息子を抱っこしたままこの暑さ、人ごみ、いったいどうすれば? 声をかけてきたタクシーの運転手さんと交渉し、2時間いろいろな場所を案内してもらってからビーチで降ろしてもらうことに。

 やっと車に乗って一安心。
 ところがこのタクシー、冷房がなかったんです。窓を開けていると渋滞に排気ガスがすさまじく、息苦しい。でも窓を閉めるともっと暑い。しかもわりと昔の車で、乗り心地もいまいちで、がんがんと飛ばしていて、私は1時間ほどして息ができないような気持ち悪さ。乗り物酔いだったのでしょう。とにかく暑い。でも、船から持ってきた水1リットルが、もう3分の1しか残っていません。水を飲んで、少し休んで、ちょっと息ができるようになりましたが、でもまた走り始めると気持ち悪くなってしまって、このまま意識を失ってしまうかと思いました。夫も子どもたちも元気だったのに、私だけふがいないですけど。これで100ドル。こんな赤道直下の国に、私ってば何をしにきたんでしょうか。

 しょうがないので観光はあきらめてビーチに行くことに。どこも名所旧跡らしき場所は見られませんでした。私たちを迎えに来なかった旅行業者は、ネットで見つけたのでしたが、その後帰ってみるとクレジットカードで料金168ドルは引き落としていて、あまりの悪質さにあいた口がふさがりませんでした。返金しろとメールしたら、する、との返事はきたもの、とにかくひどい。しかしまあ、現地の会社を信用した私が甘かったし、この熱帯の国のタクシーに冷房がない可能性を考えなかったのも甘かった。日本やアメリカで平和ボケしていたのかもしれません。勉強代でしょう。

 もーバルバドスって最悪! と思いつつビーチに行くと、やっぱりすっばらしかったのです。水に入ると、すーっと体が冷えて、気持ち悪さが治っていきました。水の色もエメラルドグリーンで申し分なし。ただ、公共のビーチだったから、怖い雰囲気のお兄ちゃんがジェットスキーどうよ〜とか大声でひっきりなしに叫んでいたり、混み合っていたし、治安面でもなんとなく心配だったし、ちょっと雰囲気はいまいちだったなー。

 タクシーでドライブしているときに、フォーシーズンホテルを建設中だったり、オプラ・ウィンフリーなどのアメリカ人セレブの別荘があったりと、何かバブリーな香りもありました。人口が28万人だそうで、やっぱり7万のアンティグアとは違います。それとさとうきび畑が一面に広がっている光景も見せてもらえました。バルバドスに限らず、カリブ海の島々はさとうきびを作って輸出してきたのですね。

 アンティグアに比べると島も大きく、栄えているムードで、その昔ロンドンからコンコルドが飛んできていたというのもわかるバルバドスでした。でも私の印象はあんまりよくなかったですけど(苦笑)。

 さて5日目はセントルシア。この日はカタマランヨットという100人ぐらいが乗れる船で、世界遺産のピトン山を見にいくクルーズに参加しました。この日もすーっごく暑くて、陸上で観光していたら私ぜったい気分が悪くなっていたと思うんですけど、船に乗っていると断然快適で、何の問題もありませんでした。ちゃんとマストもついているヨットで、ほとんどは息子を抱っこして中のほうにこもっていたのですけど、ちょっとだけ夫に代わってもらって、甲板に座って風を受けてみました。んー、なんともいえないー!! カタマランヨット最高!!

 ピトン山は、すごくとんがった山が海のそばに2つそびえています。不思議な眺めでした。そして、途中で港もなにもない浜辺にヨットが近づいていきます。階段を下ろして、泳ぎたい人ははいどうぞ、といったところ。ドイツ人の年配女性が入ろうとして、「ディープ!」と叫んで頭を振りながら断念して出てきました。岸までは15メートルもないのですが。ライフジャケットをつけた娘と、うちの夫は果敢にも泳いで行きました。私は息子を抱えていくのはちょっと無理だったので断念。階段の一番下まで行って息子を抱っこして漬かりました。水があったかい! ここもやっぱり、海は最高。

そんなわけで5日間連続で水着着用で船から降り、毎日違う国で海水浴をするというすごい経験ができました。赤ちゃん連れでこんなところまで飛行機で来ること自体、クルーズでなければまず不可能だったでしょう。

どこも海は素晴らしく、それと人々の暮らしが苦しそうなのがとても対照的でした。