ピアニスト、青柳いづみこさんは作家としてもかなりの売れっ子。編集者をしていた頃から、チェルニーの本の取材など、さまざまな場面で、原稿依頼や取材でお世話になってきました。
はじめてお会いしたのは、ドーリングピアノという昔のピアノを修復したお披露目の演奏会。その日のピアニストが青柳さんでした。ろうそくを立てる蜀台がついていて、音色もかなり古めかしいアップライトピアノ。それは、鹿鳴館の花とうたわれた石井筆子の持ち物で、由緒あるピアノだったのです。私は、その演奏会の取材に行ったのでした。
石井筆子は3人の子どもがいましたが、ひとりは亡くなり、ほかの2人も生涯を持っていました。しかし夫が亡くなってしまい、再婚したのが、障害者施設の滝乃川学園をつくった石井亮一だったのだそうです。そのときのお嫁入り道具がドーリングピアノで、学園にいままで残されていたのでした。
筆子は後半生を生涯がある子どもたちのために尽くしたそうです。明治時代の話ですから、どれほどの苦労があったことか…。
そして青柳さんの半分血がつながったお兄様にも障害があり、滝乃川学園に入っていらっしゃるつながりがあったのだそうです。
…と、天使のピアノ、またの名をドーリングピアノ…については、いろんなストーリーがあって、青柳いづみこさんのサイトの日記に紹介されています。ちょっと長いですが、面白いのでぜひおすすめのコラムです。
http://ondine-i.net/merde/020903.html
そして今回、なんとそのピアノを使ったCDがリリースされました。早速聴いてみました。はちみつ色の音色…。青柳さんがそう形容しているとおり、そんな優しい音色です。
娘と一緒に、車のなかで聞くのにぴったりのアルバム!!!
そうそう、授乳しながら、うつらうつらしつつ、聴くのにも最適。
天使のピアノは、音が多すぎない易しい曲が似合うので、青柳さんが子どもの頃の発表会で弾いた曲をたくさん入れています。しかも、青柳さん自身による、お話の朗読も入っているのです。トークつきのリサイタルに行った気分です。
1) クープラン 百合の花ひらく 葦 小さな風車 修道女モニカ
2) ベートーヴェン『エリーゼのために』『月光の曲』
3) ショパン 『夜想曲作品9−2』 『遺作の夜想曲』
4) ドビュッシー 『月の光』
5) スカルラッティ 『ソナタホ長調 K380』
6) クーラウ 『ソナチネ第4番』
7) ピエルネ 『昔の歌』
8) シューマン 『トロイメライ』
9) チャイコフスキー 『子供のためのピアノ曲集』より「朝の祈り」「ワルツ」
「雲雀の歌」など8曲。
10) 滝廉太郎 『メヌエット』『怨』
11) ラザール・レヴィ『子守歌』
12) 美智子皇后陛下の作詞による『ねむの木の子守歌』(小原孝・編曲)13) 石井筆子さん愛誦の賛美歌第433番。
天使のピアノ
青柳いづみこ,チャイコフスキー,クーラウ,滝廉太郎,ショパン,クープラン,ピエルネ,ドビュッシー,シューマン,レヴィ,美智子皇后陛下