音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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辻井伸行くんが受けたレッスンとは

伸行くんを育てた教育とはどんなものだったのか? というテーマで、音楽誌ムジカノーヴァから原稿依頼が来ました。彼の師でもあるピアニストの川上昌裕先生は、拙著「21世紀へのチェルニー」にもご協力をいただいているので、メールでいくつか質問を送らせていただき、メール取材といった様相に。

伸行くんがチェルニーをほとんどやっていない話は私の本にも書いたとおりですが、今回さらに、バッハもあまりやっていないことに私は非常に関心を持っています。チェルニーは他でも置き換えられるけれど、バッハはどう考えても大事! というのが私のこれまでの固定観念であり、川上先生もバッハは大事だと考えていらっしゃるのですが、諸事情により伸行くんはあまりやっていないんだそうです。この話は以前ムジカノーヴァの対談でもお話になっているのですが、改めて詳しく伺って、非常に興味深いものがありました。
暗譜してから練習をはじめる(たとえそれがコンチェルトだろうと)、留学はしていないといったことも含め、伸行くんが受けた教育はある意味で型破りであり、日本の伝統的なピアノ教育に敬意は払いつつも、かなり新しいものです。伸行くんはまぎれもない天才で、辻井家はお父さんが開業医で経済的にも恵まれているので、同じ方法をみんなに応用するのも難しいでしょうが、原理原則の部分ではかなり参考にできる部分があり、今後のピアノ教育のありかたに大きな影響を与える貴重な事例だと思います。そんなわけで、原稿を書きながら私は、ひさしぶりにエキサイトしているのです。

のぶカンタービレ! 全盲で生まれた息子・伸行がプロのピアニストになるまで
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辻井 いつ子