音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

セミナースケジュールはこちらです。 山本美芽オフィシャルサイト

六本木ピットインに通った日々

 最近はごぶさたしていましたが、90年代には、ほんとうによく通いました・・・フュージョンの殿堂、六本木ピットイン。ライヴハウスといえば、六ピだった時期が、確実にありました。きのうの日経新聞に、7月で閉店になることが大きく掲載されていて、熊谷美広さんとナベサダさんのコメントまであって、ちょっとびっくりしましたが。
 改装前の六ピで印象が強いことは、本当に音が良いことでした。全部の楽器のプレイが、すごく細かい部分まではっきり聞こえるんです。ドラムだと、こっちのシンバルとあっちのシンバルの音色や残響の違いとか、スネアの強弱とか。ベースだと、一音一音の弦のはじけ具合とか、弾いたあとに音を伸ばしているときの減衰の具合とか。たくさんの名盤があの場所で生まれたのも、当然のことだと思います。
 六ピで録音された名盤は数多いですが、私が好きなのは、ステップス・アヘッドの「スモーキン・イン・ザ・ピット」、ディメンションの「Sixth Dimeinsion」かな。他にも本田雅人さんのビッグバンド・アルバムだとか、スクェアの「フェアウェル・アンド・ウェルカム」とかも大事な存在だなー。
 時代の流れ・・・フュージョンブームで役割を果たした・・・確かに、99年を過ぎてから六本木にstb39ができたり、001年ごろからは目黒のブルースアレイにフュージョン系ミュージシャンが沢山出るようになったり、最近ではモーションブルー横浜ができたり、原宿にブルージェイウェイなんてところもオープンしたり。景気は悪いし、厳しいことがいっぱいあったのだと思います。でも、六ピがなくなると言われても、なんだか実感が湧かないんだよなー。なんでだろう。
 なにはともあれ、ライヴハウスは、ミュージシャンが一番やりたいことを自由に演奏している姿が間近で見られる貴重な場所。終演が夜の10時半を過ぎることが多いから、なかなか行けないこともあるけれど、少しでも多く行きたいものです。個人的には、ライヴハウスって、時間とお金が自由になる都会に住んでいる人に優しいシステムなのがちょっと不満。 夜遅くになると盛り上がるし、雰囲気がいい面もあるんだけど・・・終演が9時半ぐらいだと、午前様にならずに帰れる人がぐっと増えるはずなんです。電車で2時間ぐらいかかる人でも終電に間に合うし、翌日仕事があってもしんどくないし、ずいぶん違うと思うんですよね。モーションブルー横浜や、ブルーノート東京の場合は、1stステージだけ観れば終演は8時半なので、そういう面ではありがたいのですが。
 そのへんを考慮してくれるライヴハウスが、もう少し増えるとありがたいんだけどな。