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音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

セミナースケジュールはこちらです。 山本美芽オフィシャルサイト

プエルトリコが気になる昨今

海外のジャズ・フュージョン

年末にサンフランシスコのYoshi'sに行って、エディ・パルミエリのライブを聴いてきました。それからずーっと彼のアルバムを聴いていて、ラテン・ジャズにすっかりはまってしまったみたいです。
エディ自身はニューヨーク生まれのプエルトリカンなんですね。
アルバムを聴くと、華麗なピアノソロに神がかったプレイもたくさん入っているんですけど、ライブ当日は、指揮者兼モントゥーノ職人といった感じで、スタインウェイの譜面台の上にキーボードをのっけて、結局スタインウェイのほうはほとんどさわらずに、キーボードで刻みパターンばっかり弾いていたような気がします。なにしろ太鼓関係だけでも4人だったかそれぐらいいて、人数が10人以上の大所帯でにぎやかなサウンドだから、ピアノを普通に弾いていたら音なんか消えちゃうし。それってピアニストとしてどうなの、という気もするんですけど、これがまた幸せそうに弾いていらっしゃる。

演奏を始める前に、エディがカウントを1,2、3,4、だったかな? そんな感じで手拍子を打つんですけど、それがまあぜんぜん気が抜けた感じのかるーい手拍子で、こんな普通に気合もなくていいのか?  と思った瞬間に、バンド全体がガガーンと、スイッチオンにしたかのように、イケイケノリノリで演奏をはじめるんですね。プレイヤー全員の頭のなかにずーっと音楽が流れていて、それがふっと表に出てきただけのようなあの感覚がとても不思議でした。頭の中から、現実の世界へ、パチンと指を鳴らしてスイッチしたみたいな。

そしてふと目に留まったのが、ステージ上のミュージシャンのなかに、うーんそれはステージ衣装っていうか普段着じゃない? という人の割合が結構高かったこと。そもそも、いくら1日2回まわしで1週間程度の公演とはいえ、400人のお客さんが払うチケット代で10人以上の大所帯バンド。ギャラを割り算したらどうやったって、3−4人のバンドよりも1人あたりのお給料は減ってしまうわけで。でもこの人数の多さによって、ほんとにお祭りそのもののにぎやかなムードができている。一種のワークシェアリング的な側面があるかもしれません。

そう、お祭りみたいだったんです、その日のライブは。1階のステージ前付近は机をどけてしまって、20組ぐらいのカップルが踊れるようになっていて。実際、みんな踊りまくっていました。それも、カジュアル! ベビーカーを持ち込んだファミリーのお父さんは子どもを抱えて踊っているし、女同士で踊っている人たちもいるし、もちろんカップルもいるし、子供同士も踊っているし、もうなんでもあり。私たちは2階席にいたんですけど、下にいそいそとおりて踊りにいくカップルも結構いました。私も行こうかと思ったんですが、一緒に行った娘が「やだ、はずかしい」というので残念ながら踊りませんでしたが。

それになぜか、MCの途中で質疑応答コーナーっていうのがあったんですね。そのなかで「自分の両親はプエルトリコ生まれで…」みたいなことをエディが行ったとたん、ワーっと歓声と拍手が。プエルトリコといっただけで、そんなに拍手が? みんなここにいる人は、プエルトリコ出身なの?? と、私は思わず周りを見回しました。うーむ、暗いし、よくわからないけれど、確かに白人は少ない。黒人でもなく、浅黒い肌の人が多かったです。
この日は景気が悪い悪いといっていたのに、ソールドアウトになったぐらい混雑していました。エディのライブをとても楽しみにしていた人が多かったのでしょう。彼の音楽とこのお祭り的な雰囲気を心から楽しみにしてみんな集まっていたのかなあ、なんて。

日本では、ラテン系といえば松岡直也さんとか、熱帯ジャズ楽団のライブには何度も行ったことがありました。オルケスタ・デ・ラ・ルスは確か行ったことはなかったかな。ただ、デ・ラ・ルスが海外公演したとき熱狂的に迎えられたという話は聞いたし、ピアニストの塩谷哲さんが、現地のおばちゃんが鼻歌を歌っているのがとても音楽的で、自分はいっぱい勉強したけれど、このおばちゃんにはかなわないような気がしたというような話をしてくれたことがあります。エディのライブに行って、何か感覚として、デ・ラ・ルスがものすごく受けたというのも、おばちゃんが音楽的だったのも、すごくなるほど、と実感が湧いてきて。

そんなことを考えながら、エディのアルバムに「プエルトリコ」という曲があって、この曲にハマってしまい、ずーっと聴いているんです、最近。

おりしも、カリブ海クルーズに行きたいな〜と思い続け、プエルトリコの首都サンファンについて調べてみると、16世紀のスペインっぽい町並みがそのまま残っていて…うわー行ってみたい! そもそもプエルトリコは、州じゃないけれどアメリカの一部というグアムみたいな場所だとか、そういうこともこれまで知らなかったんですけど、知れば知るほど興味がものすごく湧いてきていて。

ラテン、といっても中米のアフロキューバンと、南米のブラジリアンと、いろいろ系統もあって、すごく複雑なので、うかつに用語を使ってしまうと危険なので書きにくいんですが、とにかく気になっているのです。エディのアルバムを聴いてノっていると、不景気なんてぶっとばせ! という気分になってきます。