音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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多喜先生の室内楽クラス始まりました!!

去年、「自分の音、聴いてる?」の取材のために、入門クラスに毎月1回、1年間通いました。その様子は本にも書きましたが、本が出たからって室内楽が終わりなんてことは、もちろんなくてですね、今年は、一歩格上げ(!?)、初級クラスが今日から始りました。昨年はピアノは松本裕子先生のご指導でしたが、今年は多喜先生のご指導です。そして、ヴァイオリンが清水醍輝先生、チェロが篠崎由紀先生。・・・いまフェイスブックで調べたら、おふたりとも私、同学年ですね(爆)。いや、よくあるんです、来日ピアニストとか、ジャズミュージシャンとかでも、同学年ってケース。ティル・ブレナー河野啓三さんとか、取材したことないけど五嶋みどりさんも71年生まれだしなぁ〜…そう、ベビーブーム世代で人数多いんですよ。はっ、話しを戻します。

今回ご一緒する弦のおふたりはソリストとして本当にすごい方。多喜先生からは、「けっこう厳しいこといわれるわよ」と釘をさされていました。そこで私は少ない時間ではありますが、必死になって課題曲の ハイドンのピアノトリオ、Hob.XV-24をさらっておりました。まず1楽章。なんかフェルマータがぽちっ、ぽちっとあるんですが、やだなこれ。合わなさそう。それから、右手も左手も、3と5で大事な音を弾いて骨格を作るような場所があちこちに。はい、転んでます。ソロで転んでいるのもよくないですけど、弦の先生おふたりに、私のこの、転んだ音を聴かせなくちゃいけないのかと思うと、めまいが・・・。ズボンのチャックをうっかりあけたまま歩いているような恥ずかしさがこみあげてきます。・・・しかし時間は無情に過ぎ、たいした改善もみられないまま、初合わせの今日を迎えてしまいました。

今日は渋滞や電車の遅れなどがあり、まずチェロの由紀(ゆうき)先生が到着。チェロと合わせます。私は2番目に弾いたのでまず、1人目の生徒さんと由紀先生の演奏を聞き始めましたが、・・・なんというチェロの音!!!! おいしそうなクッキーの焼けるにおいにひかれるように、気がついたら、チェロの音に釘付けになっていて、楽譜を見るのも、お勉強モードになるのも忘れてしまいました。わぁ。久しぶり、こんな感覚。生まれてはじめて六本木ピットインに行って、則竹裕之さんのドラムを目の前で聴いたときも、こんな感じだったなあ。

いい音にとにかく弱いんです。いい音さえあれば、はっきりいって、あとはもう何もいらないんです。なんで私が弾くんだっけ??? あ、そうだ、クラスだったんだ。忘れてた。で、次は、私の番。やばい。きゃぁ〜チェロの音ステキ〜と浮かれてしまい、全然良くあっていないですね。多喜先生が「どうだった?」ときいてくださり、「楽しいです!!!」とルンルン状態で答えてしまい、先生も「よかったわね」と苦笑されながら、「じゃ、楽しいだけじゃなくて・・・」と、あちこち直していただきましたが、なんか、だめだ、浮かれていたのか、あわせるたびに「おお〜楽しい〜いい感じ〜」という状態。あちこち音が合ってないし、もちろん転んでいるし、そういうキズみたいなことはもちろんわかりましたが、その他もっと重大なことで、自分の何がよくなかったのか、自分でもよくわからないまま、終わってしまいました。

最後のほうに、ヴァイオリンの醍輝先生とも一度あわせることができ、うわやっぱりトリオになると、聴くのが大変で頭がパニックしてきた。チェロとデュオのほうが、聴くのはずーーーーーっとラクですね。トリオだと情報が倍増状態で。ううう。でも去年ほどパニックはしてないかなぁ。醍輝先生のヴァイオリンをゆっくり味わうヒマがなかったのが残念でしたが、いやほんとに、これは、ライブハウスに通う以上に楽しめそうですっ! 

この場を借りてざんげすると、去年は、室内楽にもっていく曲の16分音符が転んでいてもまあいっかと根をつめて練習しませんでした。しかし今年は決めました。絶対、パーフェクトなリズムで弾けるまで練習してから合わせます。例の、3と5の指で作る音楽の骨格となるようなフレーズをチェロの由紀先生が弾いてくださったんですが、当たり前ですが、完璧でした。音の長さもリズムも音色もフレージングも。弾きにくい指っていうのはこっちの都合。音楽の都合じゃないんです。音楽の都合に合わせなくちゃ。うわぁあああとにかく、二長調のスケールでもまじめにやろうかなぁ。なんかとにかく、すごく楽しくて、燃えてきましたっ!!!! 特訓だぁ〜!!!!!

ところで、この曲のCD、アメリカのitunesでダウンロードして予習していたのですが、多喜先生には「できたら、CDは聴かないで曲をつくるようにしてみたら」とアドバイスをいただきました。楽譜を見ながら頭の中で音を組み立てる。安易に耳コピで解釈も無意識に真似するのではなく。・・・ですよね〜。2楽章は聴かないでやってみようかと思います。でも、ハイドンのピアノトリオって本当にどれも清々しくて可愛らしくて、素敵なんですよね。実は私、大学受験で東京学芸大のほかに横浜国立大学を受けていて、合格したのですけど、その横国の試験曲がハイドンピアノソナタで、なんかあまり好きな曲じゃなくて、それ以来ずーっとハイドン苦手だったんです。でも去年「ジプシートリオ」を室内楽でやってみたらすごく素敵で、今回もそうだし、ようやく18のときのトラウマから脱出できるかも。ソロでハイドン弾きたい〜とはまだ思えないんですが、徐々にそちらも。それにしても、40過ぎてもまだ、いろんな知らない素敵な曲との出会いがあるって、本当に幸せですね。おいしいところは、おおかた食べてしまったと思っていたケーキが、まだいっぱい残っていたような感じです。

ハイドン:ピアノ三重奏曲全集(10枚組)

ハイドン:ピアノ三重奏曲全集(10枚組)

  • アーティスト: ハイドン,ファン・スヴィーテン・トリオ,バルト・フォン・オールト(Pf),レミー・ボーデ(Vln),フランク・ポールマン(Vln),ヤープ・テル・リンデン(Vc)
  • 出版社/メーカー: Brilliant Classics
  • 発売日: 2001/12/01
  • メディア: CD
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