音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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カリブ海に浮かぶアメリカ最南端の島キーウエストへ、ふたたび

 カリブ海クルーズの話の続きです。

 今回、はじめの寄港地はキーウエストでした。カリブ海に浮かぶアメリカ領の南の島、でも本土とはハイウェイでつながっています。マイアミからだと車で4時間ぐらい。昨年3月には、レンタカーを借りて車で訪れました。あまりに素敵な街だったのでもう一度行ってみたいと思っていたところ、寄港するクルーズ船が結構あって、今回選んだ船のルートに入っていたので、幸運にも2度目の訪問となりました。夕方にマイアミを出航して、次の日の朝に目が覚めて、バルコニーに出ると、もうキーウエストに着岸していました! 薄手の長袖シャツ1枚で大丈夫。さらに2枚ぐらい重ね着しなければ寒かったマイアミよりも、ずっと暖かいです。

 キーウエストは天然の良港で、大きなクルーズ船が、いちばん賑やかなマロリースクエアのそばに接岸できます。船を降りると、うっそうとした濃い緑の木々に2階建てのこぢんまりとした白と緑を貴重にしたかわいらしいおうちが建っていて、もう19世紀そのままの古きよきアメリカの港町にタイムトリップ!! 道路も幅が狭くて片側1車線通行。まるで日本に古くからある商店街みたいです。

 キーウエストといえば、ヘミングウェイの家。でも、そこは前回訪れたので、今回は灯台博物館に行ってみることにしました。30分ぐらい港から歩いたでしょうか。そのときに、デュバルストリートという一番にぎやかな通りを歩きました。19世紀に建てられた二階建てのおうちが、ずーっと並んでいて、それがレストランやホテルに改装されていたり、そのまま人が住んでいたりします。ときどき教会もあります。ビルの4階の高さの巨木が家の屋根のはるか上に大きく濃い緑の枝を広げていて、なんだか日傘みたいに日差しをさえぎってくれています。どの家も、1階と2階の両方に、船のデッキのような広いバルコニーがあります。きっと1年中暑いから、涼しく過ごすためなんでしょう。

 キーウエストは、1912年に鉄道で本土とつながったのですが、1935年にハリケーンで大きな被害を受けて、本土とつながっていた鉄道が普通になってしまいました。恐慌後の不景気もあり、それまでキューバパナマ運河方面とアメリカを結ぶ良港であり、軍事基地としても重要な位置にあって栄えていたキーウエストは、いっきに景気が悪くなってしまいました。そのころ、19世紀の建物は時代遅れになり、立て替えブームがあったのですが、キーウエストではそんな家を建て替えられるような余裕はみんななくて、それが幸いして、19世紀の町並みがそのまま残ったのだそうです。

 灯台は、高さ30メートルぐらいで、そんなに高くないなと外から見たときは思いました。中に入ると黒いアイアン製のらせん階段があります。すっごく下のほうまで透けてよく見えるんです。上り始めてしばらくしてから、後悔しました。下を見ないように必死になりますが、ときどきどうしても、3階ぐらい下のほうまで、ずどーんと視界に入ってしまい、足がすくんできます。ああ、上ろうなんていわなければよかった〜もう涙が出そうです。てっぺんに着いてみると、キーウエストの街が一望できました。山みたいな起伏はなくて、ぺったんこの平地の島なんですね。乗ってきたクルーズ船も見えます。この可愛い灯台ができた当初は、船の難破がずいぶん減ったそうです。灯台におつとめしていた人は、毎日この階段をのぼりおりしてたんでしょうね…。くらくら。

 半そでに薄いパーカをはおっていたらちょうど良い気温でした。うーん、こうやって街を散策するなら、真冬の今がベストシーズンかもしれません。3月に来たときは、暑くて暑くて、クーラーをがんがんかけていて、歩いていても汗がダラダラ流れましたもの。3月であんなに暑いんじゃ真冬はどうなのかしらと思いましたが、さすがに泳げるような気温ではないのですね。日差しはやわらかかったけれど、東京の冬の日差しとは全然違いました。5月ぐらいの感じ。

 午後からは、海の中の魚がよくみえるグラスボートに乗りました。船が出港する前から、海が荒れ模様なので船酔いの心配がある人は全額返金するからキャンセルするように、としつこく繰り返していました。いまさらキャンセルなんていやだからと、乗っちゃいました。そうしたら、確かに荒れ模様。上下にすっごく揺れてました。陸にいるときは、冬なのにあったか〜い、なんてのんきな気分でしたが、海に出たとたん、冬なんだなって実感しました。魚も船底に張っているガラスから見えたんですが、私は揺れているうちに異様な眠気に誘われて眠かった記憶が強いです。

 デュバル通りには、ドラムセットを置いた、生演奏の聴けるバーがいっぱいありました。朝の9時ごろだったので、さすがに演奏はしてなかったですが、でもちゃんとお店は開いてましたね。今回は夕方の5時に出航だし、子連れだったので、ここのバーで一杯やりながらライブを聴きたいという願いはまたしてもかないませんでしたが、またいつか再訪したいものです。
 
 前回もそうでしたが、キーウエストに来ると、キューバの近さを強く感じます。だってここからは、マイアミよりもハバナのほうが近いんですよ! キューバレストランもあちこちにあるし、葉巻はそこらじゅうで売っているし。そうそう、リトル・ホワイトハウスというトルーマン大統領がよく保養に来ていた建物も見学しました。キャンプデービッドみたいに使っていたそうです。そりゃ、こんな素敵な島だったら、しょっちゅう来たくなるのも当然でしょうね。