メセニー・メルドー
パット・メセニー, ブラッド・メルドー, ブラッド・メルドー パット・メセニー
トップ・ギタリストのパット・メセニーと、私と同い年で若手ジャズピアニストの代表格のメルドーが共演したアルバム。日本でもすごく話題になっていたのでジャズ・フュージョンファンの方はみなさんもうチェックされたでしょう。
私も先月入手して、もう3週間ぐらいずっと聴いてます! このアルバム。
まずピアノとギターの音色がすばらしく良いです。
和音も多くないし音の量がとても控えめ。それぞれの楽器の余韻に対して常に耳を澄ましているふたりのミュージシャンの気持ちがこちらにも伝わってきます。
メインとなるのはふたりのデュオで、4曲目と7曲目はラリー・グレナディア(b)とジェフ・バラード(ds)を加えた編成です。
パットは、アコースティックギター、ギターシンセ、バリトンアコースティックギターの3種類を使いこなしています。こうした素材的なバリエーションもあって、デュオながら変化に富んだ内容となっています。
メルドーは右手でも左手でも、どこでもメロディを弾いてしまう型にはまらない自由さがあるし、ドラムが入ってきたときのリズムパターンも「なんとかのリズム」と安易には書けないような独創的なもの。メロディアスではあるんだけれど、メロディらしきものは次から次へと浮かんでは消え、いろんな場所へ飛んでいきます。どこを切っても、よくあるジャズの形とは全然違うので、音楽的には非常に難しいチャレンジをしています。わかりやすくはない、どちらかというと難しい部類のアルバムのはず。
でも、メルドーと一緒だと、メセニーのギターがとてものびのびとしてみずみずしいのですね。どっちかというと主役はメセニーかな。だけどメセニーをこんなふうに弾かせることができるメルドーがまた凄い。
メルドー自身のセルフライナーを読んでみると、メルドーは13歳のときに初めてメセニーの「トラヴェルズ」に入っている名曲「ついておいで」を聞き(←私も好きです)、それ以来ずっとレコードが出るたびに買い続けてきた筋金入りパットファン。ピアノとギターというふうに楽器は違うけれど、多大な影響を受けているのだそうです。今回のレコーディングで、パットが書いてきた曲を見て、メルドーは「ああ、わかる」とピンと来るものがあったとか。
Pat's approach to melody and harmony has resonated very deeply with me.
うんうん。メロディーとハーモニーに対するアプローチがいい。私自身もそこは同感。メルドーもそうなんだ、と思うとうれしいです。結局はそこに尽きるのかもしれません。