なんだか、ものすごいタイトルをつけちゃいましたが・・・
音楽之友社からハノンの新版が出ました。
解説がなんといっても目玉で、作曲家の小鍛冶邦隆、ピアニストの中井正子さん。おふたりともパリ国立高等音楽院で勉強されているので、パリ音楽院じこみの現役音楽家ならではの内容なんです。
雑誌に詳しく紹介の原稿を書きましたが、書ききれなかった点で、触れておきたいところが。
小鍛冶先生が「フレンチ・ピアニズム」について触れています。
なんでフランスなのかというと、ハノンの作曲者であるハノン先生(正しい発音はアノン)が、フランスの人だから。
フランス楽派のピアニズムには、次のふた通りがあるんだそうです。
●ショパン〜フォーレ にいたる繊細な「サロン系」
→ショパンは黒鍵が弾きやすいロ長調から音階をはじめるよう
勧めていて、弱い指は弱いなりの使い方をすればよいと考えて
いました。
●リストにはじまる、コンサートホールに対応した
「ヴィルトゥオーゾ系」
→弱い指は訓練して強くしましょう、という考え方。
また、
●いわゆるチェルニーなどの練習曲は「エチュード」
→いちおう理想はショパンのエチュードであって音楽様式
も学ぶべく作曲されている
●ハノンのようなものは、練習曲ではなく「エクササイズ」
→演奏技術そのものに焦点をあてている
両者は区別されている、とも書かれています。
中井正子先生の解説がまたすばらしく、ほとんどピアノのテクニックに関する教科書みたいだと私は思いました。こちらは雑誌で少し触れたので述べませんが、ピアノがうまくなりたい人は、読みましょう。