【本のご紹介 「NICU 命の授業」】
2018年に、斎藤守也さんの取材で、クリスマスコンサートをされるNICUに私も入らせていただきました。手を念入りに洗って、緊張しながら部屋に入ったのを覚えています。
外は寒いけれど、部屋の中は暖かくて、自分が出産したときに入院していた感じがフラッシュバックしてきました。
私は日本でもアメリカでもトラブルなしの出産だったので、入院は日本では5日間のみ。
それでも喜びだけではなく、たくさんの不安や心配や苦痛を抱えながらの5日間だった事はずっと忘れないと思います。それを思い出したら、NICUにいる命の危機にある赤ちゃんとお母さんたちを見ただけで胸が張り裂けそうでした。
赤ちゃんやお母様が過ごしている部屋の隣の廊下に電子ピアノがあります。ここで、ピアノ? コンサート?
少し抑えめの音量で演奏が始まると、お母様たちが集まってくる、病棟の中で赤ちゃんにミルクをあげていたお母様がはっとした顔で顔をあげる。ふわ〜っと何かがその場に広がるように空気が変わっていきました。少しずつピアノも元気な曲になっていきます。30分ほどの演奏のあとに、皆が、もとの自分に戻ったような表情になっていました。
音楽ってすごい、ここでコンサートってすごい、ピアノにこんな素晴らしい使い方があるなんて、、、
私の音楽ライター人生の中でも、強烈で、忘れられないコンサートでした。
このコンサートのとき、NICUで治療にあたっている豊島先生がいらっしゃいました。
豊島先生のブログは、一度拝見したらその内容に打たれ、ずっと拝読しています。
豊島勝昭先生の『NICU命の授業』、ついに本日発売❣️ このこの書籍には、本当にたくさんの方々にご協力いただきました😀豊島先生をはじめ、みなさまのやさしくあたたかい想いが、1人でも多くの方に届きますように…✨#NICU命の授業 #豊島勝昭 #コウノドリhttps://t.co/PFRlGf6xBg
— 赤ママ編集部 (@akamama_hensyu) 2020年8月19日
赤ちゃんの死は大人達にとってこの上ない<悲しみ>なんだと常に思っています。でも、<悲しみ>だけでない、確かにあった<喜び>やかけがえのない時間を見逃されず、気づきあえる周産期センターになっていけたらとも思えています。https://t.co/OnrtQ6nYlv #こども医療センター #NICU #コウノドリ
— NICUサポートプロジェクト(豊島 勝昭) (@nicu_fight_25) 2020年8月20日
豊島先生のブログを読むと、
命の長さだけが大事なのだろうか?
毎回、考えさせられます。
いまNICUは、ご家族の面会も厳しく制限されている状況で、あの時取材でお伺いして中に入った経験というのが本当に貴重なものだったと改めて思っています。
豊島先生は激務の合間を縫って「命の授業」をあちこちで講演されていたのですが、今はできなくなってしまい、その代わりに記されたのがこの本です。
コンサートの様子が載っているからと思って拝読したのですが、まず、生きるとは生まれてくるとはどういうことなのか、先生の言葉が本当に一言一言、響きます。命の授業を聞いて、医学生や看護師を目指している学生さんたちの文章も載っています。
悲しみを癒すことはできないけど
それをシェアすることならできる。
とくに病院や介護施設などで訪問演奏をされる方には、読んで欲しい。
曲目をそれらしくすればいいというものではなく、その場にいる方々の気持ちに心を寄せる、その重要性に気づかせていただきました。