平日、朝の11時に開演のオーケストラなんて、夏休みならでは。要するに夜に出かけるのが大変な私が、娘にかこつけてとにかく外出の容易な昼間に、オケを聴いてちょっぴりバレエも見られたら、という趣旨で小学3年生の娘を連れて、サントリーホールに出かけました。
サントリーホール、久しぶり!! アメリカから帰ってから初めてだから、6年ぶりぐらい? でもまったく変わってない居心地よさと、特別な雰囲気。もちろん娘は初めてのサントリーホーール。「千秋先輩が指揮したんだよ、ここで」といったら、ちょっとピンときた様子。
子連れの宿命、急な発熱などによるキャンセルが怖くて、チケットは当日券を狙いました。ステージ横の席がちゃんと残っていてよかった。幼稚園年長ぐらいから小学生が中心、やや女子が多めでしたが男子もそれなりにいましたね。全体は3部構成。
1部は、「運命」の第1楽章、「美しき青きドナウ」、ホルストの「木星」でした。運命のときはずいぶん人数が少なく感じて、「木星」になったら金管や打楽器の人がどどっと増えて、ティンパニも2人になって、おおーやっぱり音が大きく、迫力出てきたー。冒頭の弦楽器の緻密なアンサンブルや、ホルンのかっこいい咆哮、終盤のクレッシェンドに爆発的なフォルテ、うーんオーケストラが全力で鳴っているのって気持ちいい!! ダイナミクスが増えてくるとうれしいというのも、ふだんスピーカーを使って音を増幅していたり、ドラムセットの大音量を至近距離で聴いて、ちょっと耳が大音量の刺激に慣れすぎているのかなあと反省してしまいました(苦笑)。
果たして娘はちゃんと聞いていたのか。つま先を見たら、リズムにあわせて動いていたので、どうやら聴いていた模様でした。ここまで30分で、休憩15分。
第2部は、プロコフィエフのバレエ「シンデレラ」をショートバージョンで、舞台装置はなしですが、オーケストラの前で10人ぐらいのダンサーが踊ってくれました。シンデレラよりも、意地悪なお姉さん2人のパフォーマンスが、いがみあっていたり、こぜりあいをしていたりして、コミカルというかユーモラスで印象的でした。物語だと「いやーねー」って人間のいやな部分を見て暗い気持ちになる姉ふたりなのに、つい笑ってしまう存在になっている…このひねり具合がナイスです。バレエはスターダンサーズバレエ団。
3部は、オーケストラと一緒に子どもたちが「100パーセント勇気」と「ビリーブ」を歌いました。うーん、歌声はそんなに出てなかったなー。100パーセント勇気は、Cdurで、裏声をかなり駆使しないと使えない音域で演奏されていたのが気になりました。合唱団の子たちならともかく、客席でいきなり歌うというシチュエーションでは、あの調では高すぎて子どもは歌いにくい。歌のおねえさんは裏声でばっちり歌ってましたけど。お姉さんの音域より子どもの音域に合わせてほしかった。いまNHKでやっている「忍たま乱太郎」の主題歌では、Edurですよ。6度も低い調で普段聞いているので、歌いにくかったでしょう。選曲が良かっただけに、そこだけ残念。「ビリーブ」もあまりみんな声が出てなかったなあ。うちの娘は「学校で習ったよ」といってかぼそい裏声で歌っていましたが、あまりに蚊の鳴くような声で、ちょっと残念だったな。
なんて、辛口で書いちゃいましたが、全体的にほんとうに子どもの集中力が保てるように工夫された見事なプログラムなので、改善点といったらこれぐらいしか思いつかない、非常に充実のコンサートでした。
そのあとエルガーの「威風堂々」をオケが演奏。いいですねー。これ、娘と一緒にピアノの発表会で弾いたんです。オケで聴けてよかった。しかし、もっとオケの演奏がいっぱい聴きたくなって、うずうずしてきた。大人としてはこれじゃ足りない。不完全燃焼なんですけど。いや、そこで改めてコンサートに本格的に来てもらおうという戦略なのかな。子どもたちには、分量としては、これぐらいでちょうどいいんでしょうけれどね。
親子ともども楽しめました。来年の夏休みの日本フィル夏休みコンサートまで待たなくても、何かもうちょっとこういう機会が欲しい気がします。単純に、生のオーケストラを聴いたあとって、気持ちも、音の波動を浴びた体も、いい具合に浄化され、ほぐれている気がします。
ツイッターに「行ってきました」と書いたら、樹原涼子先生から「息子たちが小さかった頃に行きました。なつかしい!」とのツイートが。そっかー、そうだったんだ。
もしかしてあと何年かしたら、「ねえ、オーケストラ聴きに行く?」ときいても、娘は「えー、いい。行かない」と言う日が来るかもしれない。「えー、行きたい、行く行く!」といってくれる今のうちに、少しでも多く、思い出を作っておきたいものです。
- アーティスト: オムニバス(クラシック),ライプツィヒ放送合唱団,フレーニ(ミレッラ),アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ,シフ(アンドラーシュ),ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団,シュミードル(ペーター),内田光子,グラフェナウアー(イレーナ),イ・ムジチ合奏団,ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団
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まったくどうでもいいことですが、私のお気に入りのアンテプリマの銀色のワイヤーバッグを持っているお母さんに、この日のサントリーホールで20人ぐらい遭遇したのには苦笑してしまいました。私はたまたまこの日さげてこなかったんですが。オーケストラに子どもを連れてくる母の好きなものってだいたい似ているんでしょうか。