音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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T-SQUARE"BLOOD MUSIC"

Blood Music
Blood Music
T-SQUARE

ここ数年、毎年のようにリリース前から聴かせていただいていたT−スクェアの新譜。今年は残念ながら何にも原稿書きのお手伝いはできませんでしたが、日本から送ってもらって、ジャズライフのインタビューを読みながら、じっくり聴いています。

 今年のスクェアはロックだ! という噂はネットで読んでいました。いやはや確かに。その昔、「トゥルース」や「プライム」だってフュージョン界のなかでは充分ロック路線だったわけですけど、そういった過去のスクェアのロック、とは一線を画したヘヴィーなサウンドです。

 安藤さんのギターのゆがみ具合が、かつてないほど存在感があります。明らかにへヴィーメタル路線ですね。ジャズライフの記事によると、ギターはポール・リード・スミス、アンプはブギー、ハムバッカーのリアでアンプ直結で歪ませているそうです。

 日ごろピアノの音色がどうのこうのと書いているから、余計に思うことですが、エレキギターは楽器、アンプ、歪ませ方で、まったく別の楽器なんじゃないかというほど印象が変わるし、音楽全体のイメージもそれによって変わります。これまでの安藤さんの「ロック」なエレキギターのイメージが「ぎゅい〜ん」だとしたら、今回のエレキギターの音は「ぐお〜ひゅ〜きゅきゅきゅ〜ドカーン」ってところでしょうか。あくまで全体的な傾向としてイメージで語れば、の話ですが。

 核となるメロディは、やっぱり「安藤節」ですが、このギターの音色で聴くと実に新鮮でした。伊東たけしさんはEWIをメインに使っていて、ギターとEWIのコンビネーションが、これまたかつてなくパワフルな印象です。

 それから、かつての和泉宏隆さんのように、キーボードの河野さんが細かいアレンジをしているので、何度聴いても飽きない完成度の高いサウンドになっています。要所要所にクラシカルなピアノがキラキラ〜ンと入ってくるのが、スクェアらしくてほっとします。

 新ドラマーとしてアルバム参加2回目の坂東慧さんは「手数系」とインタビューのときにご本人から聞きましたけれど、今回シンプルな8ビートをドスドスと決めています。彼の提供した曲が、今回は3曲も採用されているんだからたいしたものです。

 坂東君の曲は、爽やかで淡々としていて、いい味が出ています。もちろん彼なりの個性があるんだけれど、スクェアを聴いて育ったという彼のなかには、種から芽を出して大きくなったスクェアのDNAが脈打っているのでしょう。

 名ギタリストにしてメロディメイカーの安藤さんを、チーム体制でサポートしていくのがスクェアなんじゃないか、だとしたら今とてもいい状態になっているな、と感じました。

 このアルバムの曲は、ライブだと安藤さんのギターが猛烈にかっこよさそうです。坂東君のドラムもビシバシ来て、スカッとしそうだな〜。