音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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シリーズ【音大でのキャリア教育を考える】2 結婚・出産とバブル崩壊

A先生から寄せられた事例です。

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私、または私の同期たちが結婚した頃(1995年前後くらい)というのはまだまだピアノ教室も潤っていました。結婚、出産で一時的に職を離れても、またすぐに始めようと思えば始められるという考えでいた方が多かったと思います。

 

でもほどなくしてバブル崩壊、景気は傾き、子どもの習い事としてピアノは真っ先にリストラされる始末。そんな事態になってしまい、復帰出来なくなってしまったかたが多い世代だと思います。

 

また、ピアノを続けられるかどうか、結婚した伴侶によっても左右される。どうしても時間が不規則だったりするので、理解が得られず職を替えた方もいます。

子どもが出来てからは、ご主人の協力がますます不可欠です。

 

ピアノ教室の仕事は夕方から夜にかけてがゴールデンタイム。保育園に預けられる時間帯だけでは、教えられる生徒に限りがあります。かといって託児所は夜間は高額だし。実家が近くにあって協力を仰げれば良いのですが。

 

昔、私もそんなことに悩んでいた時、その辺お母さん先生達はどうしてるのかを楽器店の上司に聞いたところ、自分の親(奥さん側)と同居している先生が圧倒的に多いとも聞きました。

 

結婚した相手次第で、ピアノ教師として生きていけるかどうかがかなり左右されてしまう現実があります。結婚には慎重にならないと。

 

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(山本より)

バブル崩壊後、少子化もあいまって、ピアノ教室をとりまく環境は決定的に厳しくなりました。そのため、教室や講師の人気によって、経営状況は大きく分かれていくことになりました。

経営状況を左右していく要因はいくつもあります。

バブル崩壊というのは社会状況。

結婚・出産というのは、講師の個人的な環境です。

 

どちらも教室経営には重大な要素です。

 

今回は、結婚・出産のほうについて少し深く考えてみましょう。

 

これまでは、生徒さんといえば幼稚園・小学生が中心でした。そのため女性がレッスンと結婚・子育てを両立するには、保育園だけでは難しく、夫や実家の協力が不可欠。それが得られない環境にある先生たちは、自分の子どもが大きくなるまで仕事はせず、子育てがかなり一段落してから教室を始めていました。現在40代・50代の先生方とお話しすると、多くの方が子育て一段落後に教室を始めています。

でも、ゼロから教室を始めて生徒募集をするのは、簡単なことではありません。できた先生は、なんなくやってのけていますが、結局ここを超えられず、復帰できないままの方も多いのです。

 

出産後、家庭・子育てと両立しながらの開業。ここが大きなハードルになっています。