音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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ピアノ講師の池田敦子先生にインタビュー

福島県郡山市でピアノ教室を開いている池田敦子先生にインタビューしました。

昨年、藤拓弘先生主催のセミナーで、私が講師としてチェルニーの使い方についてお話したとき、わざわざ郡山から来てくださったときに初めてお会いしました。

新幹線でわざわざ!? と驚いた私は甘かった(爆)。池田先生だけでなく、熱心なピアノの先生方は、セミナーに通うために新幹線ぐらいは平気で利用されるんです。自己研鑽のためには交通費を惜しまないんですね。新幹線も、頻繁に乗るので「回数券」を利用されている!! 私はなんだかんだいってライブの地方遠征はこれまで見送ってきましたので、正直、「負けた!!」と思いました。

池田先生のホームページは、藤先生の本にも紹介されていまして、内容・ビジュアルともにクオリティが高く、私もレッスンの様子など、いつも楽しみに勉強させていただいてきました。

今回インタビューにあたって、私の自宅まで来ていただくことに。はるばる神奈川まで!! 感激でしたねー!!

まずはレッスンのことを中心に・・・と思っていたのですが、震災の日から池田先生のピアノ教室がどのような苦難を乗り越えてきたのか、その話を聞いていたら、なんだかもうそこだけでノンフィクションの本が1冊書けるほどの話が。沿岸部との比較でいえば、まだましなほうになるのかもしれませんが、郡山の被害もすごかったんですね。涙なしには聞けませんでした。

インタビューが終わったあとは、連弾をしたり、私が最近一生懸命練習している曲を聴いていただいたり。ラヴェルをちょこっと弾いたら「あっ、これは、演奏会に出せます」って、反射的に言ってくださったんですよ。信じられなかったけれど、やっぱりそんなふうに言っていただいたら、うれしいですね。

そしてモーツァルトをちょっとお聞かせしたら「まあ、軽やかな…暗譜なんですね!」と。

どっちも3−4小節弾いたらおっしゃっていただいた気が(爆)、これはもう普段のレッスンで、生徒さんのいいところをまずとらえて、反射的に言葉にされることが多いんでしょうね。今回私はある程度は練習したものをお聞かせしましたけど、ボロボロの演奏には、どうコメントされるのか…質問しておけばよかったな。(池田先生、記事をごらんになったらこの点ぜひおきかせください!)

それにしても、ピアノを弾いて、そんなふうに良いところを弾いているそばから言葉にして認めていただいたことが、自分の人生で、いったいどれぐらいあっただろうか??? 大学を卒業するまで、ピアノの先生方にはそれはそれはお世話になりましたが、演奏に対してかけていただいたポジティブな言葉って「まあ、いいわね」とか「いいでしょう。これはマル」ぐらいしか思い出せません。

一生懸命練習しても、あまりほめてもらえなかった。それはもう昔のことですし、いまさらどうでも良いことですが、しかし、ひとこと肯定していただくだけで、3日たってもなんだかうれしい自分。どれだけほめられていなかったのか、なんだか気の毒になってきました。

今の時代も、ピアノの先生のなかには「いいでしょう」ぐらいしか言わない先生もいるかもしれない。でも、おそらく、昔よりは、いいところをいいねときちんと評価してくれる先生は増えているでしょう。そこはきちんと、こだわって探すべきポイントだなと、感じました。

そうそう、お気に入りで一生懸命練習している「素直にはずんでカーニバル」

で連弾させていただいたら、池田先生は「これは!?」と驚いてくださって、どうやら私なりにサンバのフィーリングを出したいと思って弾いていたのが、伝わったみたいでした。そう、左手の弾き方は、なんといっても、ベーシストのベースをとにかく聴くべし!!! という話もさせていただきましたね。

どうやってそのフィーリングを出しているのか? と考えると、何を聴いて勉強したのか・・・それこそ、何十枚、何百枚も、朝から晩まで、7−8時間CDを聴いて、ライブには年間20回から50回は行って…ということになりますが…勉強と考えるとやってられません(爆)。正直申し上げて、かなり憧れのミュージシャンの追っかけ活動ですね。クラシックもそうですが、勉強として聴くのではなくて、誰でもいいから「これだ!!??」と熱狂できる音楽を見つけて、それを死ぬほど聴く、それに尽きるわけで、そこまで入り込めないんだったら逆にやらなくてもいいんじゃないかという気がします。

わかりやすいおすすめは熱帯ジャズ楽団かな?? 熱帯のカルロス菅野さんつながりで、ピアニストだったら塩谷哲さんとか小曽根真さん? 

おっとベーシストでしたら、亡くなられましたが、やはり一押しは青木智仁さんってことで、塩谷さん青木さんの共演している「フォー・オブ・ア・カインド」も非常に勉強になりますね。

熱帯JAZZ楽団 XV~The CoversII~

熱帯JAZZ楽団 XV~The CoversII~

LIVE!LIVE!LIVE!(通常盤)

LIVE!LIVE!LIVE!(通常盤)

SO MANY COLORS

SO MANY COLORS

塩谷さんはソルトバンドが私はやっぱり好きなんですよね。これも亡くなられた名ギタリスト浅野さんのカッティングが神なんです。カッティングというのは和音でリズムを刻む伴奏なんですが、これが結局、「素直にはずんでカーニバル」の右手は、ギターのカッティングの模倣なので、カッティングの名人の演奏を聞いてイメージを頭に刻み込むのが手っ取り早いんです。

小曽根さんの「ソー・メニー・カラーズ」は、ラテンとジャズとクラシックを自由自在にタッチを変えていったりきたりしていて、ほんとに楽しくて、その引き出しの広さと深さに驚いてしまうアルバムです。でもって小曽根さんの左手がまた衝撃的にキレがいいのです。

などといくつか挙げましたが、結局、クラシックにも3拍子といってもワルツにメヌエットポロネーズにいろいろあるのと一緒で、ラテンのリズムだけでもたくさんあって、それぞれフィーリングが違うので、ひとつひとつ感覚をつかんでいくのには、やっぱり時間がかかるんですよね。でもそれが面白いところなんですけどね。

・・・というような話をピアノの先生方にセミナーでお話できたら面白いかな? というヒントも、今回いただきましたので、いずれどこかでまとめてお話できたらいいなとも気づきました。

ということで、話が大幅に脱線しましたが、これからさらに、池田先生の生徒さんたちに何人か電話でインタビューを行い、最終的に原稿をまとめ、池田先生のサイトで公開していただく予定です。

追記:池田先生のブログに、インタビュー体験記として記事を書いていただきました。写真はうちの夫が撮ってます。ふだんみなさまのことをガンガン書いているわりに、自分のことを書いていただくことはめったにないのですが…原稿にしていただくのって、うれしいながら、照れるものなんですね!!!http://www.perle-piano.net/blog/?p=26341