音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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光と水が美しかった、石垣島

娘の春休み。予定していた石垣島旅行に、3泊4日で行ってきました。
キャンセルしようかどうか迷いましたが、電車の運行も落ち着いているし、向こうに行けば余震も放射能の心配もないから、そういう意味でもいいと思い、キャンセルはしないことにしました。

お昼に羽田発那覇ゆきに乗って2時間半、そこからまた乗り継ぎで石垣島まで1時間。10時ごろに自宅を出て、石垣島のホテルに着いたのは、6時過ぎでした。
西海岸からフロリダやニューヨークに飛ぶのは6時間以上ぐらいかかりますから、それに比べればずっと近いものの、日本の一番南まで来たんだなーと実感。台湾までは、もうすぐそこです。

まず驚いたのは、水道の蛇口から出てくる水のおいしさ。島には標高500メートルぐらいの山があって川もダムもあるんですね。貴重な真水。山の中で湧き出る水とはまた違う、雨水そのままっぽい感じなんですが、塩素くささがぜんぜんない。水そのままって感じ。子どもたちは「あれ? このお水甘い」といっていました。牛乳も、石垣島の牛乳というのがあって、それこそ牧場なんかに行って飲む牛乳と同じようなおいしさ。うわぁ、贅沢。

夜、街が暗い。街灯の数も本土にくらべたらずーっと少ない。ホテルからレストランまで外を歩いていたらもう真っ暗で、懐中電灯を持っている人とすれ違い、「ああ、懐中電灯が必要なんだ」とびっくり。特に海のほうを見渡すと怖いほどの漆黒の闇。星がよく見えます。

朝になって、水着に着替えてビーチに子どもたちを連れて行きました。最高気温は21度、泳ぐには水が冷たかったけれど、砂遊びをするには暑すぎず、ちょうどいい気温。このところ、ずーっと放射能やらなにやらが心配で思いっきり外遊びできなかった子どもたちは、もうおおはしゃぎで、穴を掘ったり山をつくったり自分の足を砂に埋めたり、3時間ほど遊んでいました。

停電もない。水には放射能の心配もないからいくら飲んでも大丈夫。外遊びしていて、今日の放射能はどれぐらいか心配することもない。とれたてのお刺身やお野菜を注文しても放射能の心配がない。余震がない。

当たり前のようでいて、地震のあと神奈川では当たり前でなくなってしまったことが、石垣島にはふつうにありました。

石垣島から一番近い、離島の「竹富島」にもフェリーで行きました。10分ほど船にのって、小さな港に着くと、マイクロバスがずらっと並んでいて、「レンタサイクル」と書いてあるマイクロバスの運転をされていた方に聞くと、島の真ん中まで1キロぐらいあるのですが、そこにあるレンタサイクルのお店にバスで連れて行ってくれるとのこと。さっそくお願いしてバスに乗せてもらいました。

夫が息子をうしろに乗せ、私、娘と、3台の自転車でサイクリングに出発です。しーんと静かな島。山がなくて坂もあまりない。車はときどき来るぐらいで、道の両脇には草むらがあって、ハイビスカスなどの花が咲いています。

サイクリングルートに沿って10分ほど自転車をこいでいくと、星砂の浜、コンドイビーチなど、竹富島の誇るそれはそれは美しい、完璧なビーチにいくつもたどり着きました。特にきれいだったのがコンドイビーチ。
林を抜けてビーチに出た瞬間、海の色にびっくり。明るく透き通るまぶしいブルー。カリブ海でいちばんきれいだといわれていたセブンマイルビーチとか、バルバドスの海にも行きましたが、比べても負けない美しさです。あー泳ぎたい!!!! でも水は冷たいです。夏にまた来れればなあ・・。「もうカリブ海には行けないけど、沖縄に来れればまったく問題なし!」と、うれしくなりました。沖縄のほうが日本食で食べ物はおいしいし、近いし!

竹富島の真ん中には集落があって、赤がわらに平屋、石垣をめぐらせた昔ながらの沖縄らしい風景を見ることができました。

食べ物もいろいろおいしかったー。ゴーヤに、もずくに、アーサーという海草。海草をあんなにおいしいと思ったのは生まれて初めてです。石垣牛っていう牛も有名なんだそうで。イラブチャーという白身魚をお刺身とから揚げでいただきました。緑色の魚で色にびっくりしつつも、おいしかった!

なにより癒されたのは、美しい光にきれいな海、安全な自然で、思いっきり遊ぶ子どもたちの姿。

この笑顔を守るのが私たち大人の役割なんだ、できるだけのことをしなくちゃ…と思いました。

余震がないため、地震酔いもすっかりよくなり、ついでにずっと抜けなかった風邪と花粉症もすっかりよくなって帰ってきました。

キャンセルが多くて石垣島の観光業も打撃を受けているようですが、ガラガラというほどではなく、春休みの割には混んでいない、という程度でした。テレビをつけると、連日のように地震のための募金活動のことばかり。中学生が1クラスで100万円集めたというニュースにはびっくり。

自然が豊かで、食べ物はおいしくて、あったかくて…。まるでパラダイスそのままに思えた石垣島。でも島に暮らすとなると、いろいろ大変そうです。木造住宅がなくて、ほとんど鉄筋コンクリートの建物ばかりなのは、猛烈な台風がひんぱんに来るから。タクシー初乗りが410円で、乗るほうとしてはありがたいですけど、そういうふうに賃金が安めのわりには、島の外から運んでくるものは何でも高い。島の外に行くには、船だって片道何千円もするし、那覇に行くには飛行機で1時間。電車であちこちに行ける気軽さを思うと相当の違いです。

ホテルの従業員の方やタクシーの運転手さん、それから竹富島のレンタサイクル屋さんまで、島の人たちは共通語が上手というかまったく普通に話していて、島言葉を聞くチャンスがありませんでした。残念。でも、三線はあちこちにあって、竹富島を歩いていたら牛車に乗って観光客を案内しているガイドさんが三線を弾いていたし、ホテルから空港までタクシーに乗ったら、助手席に三線が。

沖縄のなかでも、やはり離島に行けば行くほど三線を弾きながら歌うのが上手な人が多くて盛んなんだそうです。生活のなかに、民謡が自然に溶け込んでいるのですね。