音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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ボストンのフリーダムトレイル

ボストンの中心にある公園、ボストンコモン。ここの中から、フリーダムトレイルが始まっています。案内所が公園のなかにあって、その前から赤い線がずっと何キロも続いているのです。

それに沿って歩いていくと、まあ、次から次へと歴史的な建物だの銅像だのが出てくるんです!!

マサチューセッツ州会議事堂、グラナリー墓地、ベンジャミン・フランクリンの像、オールド・コーナー書店。

ボストン虐殺地あとというのが、交差点の真ん中にある石畳の島みたいなところ。この場所で悲劇が…。確かに古いですが、あまりに普通な石畳なので、うっかり通り過ぎてしまい、あとでもう一度見に行きました。
1770年、まだイギリス領だったマサチューセッツ植民地ボストンだった頃の話です。

旧マサチューセッツ州会議事堂は、3階建ての小さな建物で、ビルの谷間に埋もれる寸前といった風情。

ここのバルコニーで、独立宣言が読み上げられたのだそうです。

自由の国アメリカかあ。

日本だって自由といえば自由なので、日常生活ではそれほど意識したことはありませんでしたが、ご近所の中国人の奥さんと話していると、「中国じゃアメリカみたいになんでも自由じゃないもの」とよくいわれたりとか、公園でおしゃべりしてみたお母さんが東ヨーロッパからの難民だったりとか、自由を求めてアメリカに逃げてきた人とは結構出会います。

 私自身、妊娠・出産・育児をはじめて、いつでも好きな場所に出かけられなくなりました。臨月に大雪が降ったときに、玄関から3歩歩いたポストにも怖くて行けなかったのを覚えています。それからアメリカに来て電車というものが存在しているけれど役立たないので、どこに行くにも車で移動するしかなく、日本では電車があって自由だったなあ、と思います。

 交通機関のことだけじゃない。英語が日本語と同じようにしゃべれない以上、アメリカに来てからは、どんなにまわりが助けてくれようとも、日本と同じようにはいきません。

 そうやって自由が制限されると、ときに、激しい怒りが湧いてくるのですね。

 自分が怒っていることに最初は驚きましたが、歴史を見ると、自由のなさに人々は怒り、抗議し、戦争までやっているのですから、怒りの感情が生まれるのはある意味自然なのかなと最近思うようになりました。

 私の場合は、子どもが欲しいというのもアメリカに来るというのも最終的には自分で決めたこと。不自由さを上回るいいことがたくさんありましたから、つらくても救われました。それに、2年、4年とアメリカに慣れてくるうちにあまり不自由とは思わなくなってきたし。子どもが小さくて自由時間がないというのも、子どもが成長すればぐっと楽になるので期間限定です。
 
 でも、一時的にではありますが、すごく不自由な状態も経験したので、いつまでも、死ぬまで自由がない状態が続くとしたら、自由を獲得するために戦おうってことになる気持ちも、わかる気がします。

 その自由を得るために、昔ボストンでたくさんの血が流れ、人々が頑張ったんだなと、フリーダムトレイルを歩きながら考えました。

 それにしても、どうしていちいち戦争をしたり革命をしないと自由が得られなかったんでしょうね。

 自然というのは、もともと不公平にできているからでしょうか?