音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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ただの自慢にならないために

ひさびさにブログの作法シリーズです。

ブログでは人の悪口や自分の愚痴ではなく、ポジティブなことを書くほうが無難ですし、感じがいいものです。
ところが、ポジティブなことは、そのまま書くと、ただの自慢になってしまう可能性があります。

たとえば私の場合。
アメリカに住むことになりました。
アラスカクルーズに行ってきました。
オークランドまでライブに行ってきました。

…これ、書き方によっては、ただの自慢だと受け取られる可能性があります。

ええ〜? 自分はそういうのを読んでも、自慢だなんて思わないけど?

…そういう方は、スレてなくて、良い人に囲まれて、幸せに育ってきた、もしくはご自分もたくさんいろんな経験をしているので、別にうらやましくもなんともない、そのどちらかです。

 後者の方々には私がここで申し上げることは何もありません。っていうか、いろいろ教えていただきたいです。
 そして前者のケースは、ご両親や友人に感謝してください…って、私も20歳ぐらいまではそういう天然系の性善説なタイプでした。

 え、いまはどうなのかって?
 いまのほうが、そのころの天然系だったころより、意地悪くなりました。でも、たぶん、だからこそ、昔は悪気なくたくさん人を傷つけるようなことを言っちゃっていただろうな、とわかるようになったのです。

 ライターになって、どうやったら物書きだけで経済的に自立できるのか死ぬほど考えて勉強していろんな人に話を聞いて、本を書き始めて、「くっそ〜もっと文章力が欲しい」と、悔し涙を流して、本を書ける人がうらやましくてたまらなかった時期がありました。あ、今も次から次へと本が書ける人がうらやましくてしょうがないです(苦笑)。

 そうやって、心底欲しいのにどうしても手に入らないものが出てくると、それを持っている人に殺意…というのも大げさですが、「あの人にはあって私にはない」と絶望感を感じることが多々あり。たいていのことは「そんなのしょうがないじゃん」とあきらめがつくのですが、どうしてもあきらめが悪くなってしまうものって、いくつかあるものです。

 そういう思いをして、ふと、私自身が持っている何かも、誰かにとっては永久に手に入らないものがあって、当たり前のように書くことで、手に入らないで絶望している誰かを傷つけるのだと、わかってきたのでした。

 対処方法としてどうすればいいのかは、難しいですが、まずは「自慢と思われるかも」と自覚するのが一番大事だと思います。

 そのうえで、反感を買う自慢系の文章になるか、そうでもなくなるかの境目なのですが…

「楽しかった」「うれしかった」という気持ちをぐっとおさえて、事実を淡々と書く、様子を伝えるのが基本です。

 そして、良いことの裏には大変なこともたいてい隠れている。たとえば旅行に行って素晴らしい経験ができたのはよかったけれど、お金が飛んでいってしまったとか、帰ってきてから現実とのギャップがしんどかったとか、いちど旅行で思いっきり現実逃避したことで、ますます旅行に行きたい気持ちが膨らんでしまい社会復帰できないとか(笑)。
 そういうマイナス面というか、影の部分をあわせて書くと、バランスがとれるでしょう。

 しかしですよ、私なんて! 仕事でのおつきあいならともかく、それ以外の一般の方々は「音楽ライターなんです」と言うだけで「すご〜い」という反応をしてくださる方が結構多いのです。したがって「ライターです」と名乗るだけでも、「自慢してる」と思われる覚悟がいるのです。たいていの方は意地悪くないので、助かっていますが。