読者の方から、メールでご質問をいただきましたので、ブログでお答えさせていただきます。
「音楽ライターになるために事前に勉強しておいたほうがいいことは何ですか?」とのことでした。
知っておいたほうがいいことは無限にありますが、絶対に外せないポイントということで、いくつかあげておきます。
(1)音楽に関する知識
演奏家、作曲家、アルバム、ジャンル
等々については、いくら知識があっても足りません。
ミュージシャン本人、そしてマニアの方々と同等以上に話せる
知識を身につけてください。
ライターの場合は、あらゆる ジャンルに関してまんべんなくある
程度は知っていて、専門になれば なるほど詳しい、という「山型」に
知識を積み重ねる必要があります。
さらに、
プレイヤー向けの雑誌は、楽器や演奏そのものに関する専門知識が、
音楽教育にかかわる雑誌ならば、学習指導要領など教育に関する知識が、
それぞれ求められます。
そして、知識というのはあくまでツールであることを忘れずに。
こ〜んなにいろいろ知ってます。それでどうしたの? と読者が思って
しまっては何の意味もありません。
「なるほどね〜」と読者に思ってもらえるような、自分なりの考え方、
視点を育てていく必要があります。
(2)文章作成や編集に関すること
●校閲に関するもの
「」の使い方や、「時」と「とき」のどっちにするのか、またはゲラに
直しを入れるときの記号などなど、出版物の表記に関する約束事があり
ます。プロの校閲さんほどの知識は簡単に身につきませんが、最低限の
ことは知っておいたほうがいいと思います。
●意味を正確に伝える文章
いつ、どこで、誰が、誰と、どのように、どうしたということを、ま
ったく状況を知らない人が読んだだけですんなりわかる文章を作るの
は難しいものです。それができるように書く練習をして、見直しして、
誰かに添削してもらうことも時には良いでしょう。
●雑誌や本の作り方
本でも雑誌でも、出版社と編集者がいて、それからライターが書く
出番ができます。出版物がどのように作られるのか、また、広告が
そのなかでどのような位置にあるのか、知っておいたほうがよいで
しょう。
最近はライター関係の学校もあるそうですが、私自身の経験を振り返る と、まず手当たり次第に本を買って読破し、それをもとに音楽雑誌を
徹底的に研究、ライターのホームページなどから仕事ぶりを学び、
あとは営業しながらウェブに原稿を書き続けていたら、音楽雑誌の
媒体での仕事の比率が増えていた、といったところです。
文章を添削してもらう機会は非常に少なかったのですが、ウェブで
徹底的に書き散らしていると、思いがけない言葉がひとり歩きして
誤解を招いていることにも気づき、誤解されない書き方を工夫する
ようになり、ずいぶん勉強になりました。
また、営業する以上は首都圏に出てくる必要があります。
いったん東京で基盤をつくって地方に行くのはともかく、最初から
地方で音楽ライターを開業するのは難しいと思います。
こんなところでしょうか。
勉強しておくこととは別として…
音楽ライターは、一部の売れっ子の方々以外は兼業している人が多い
です。私も主婦との兼業です。売れっ子になるまでは、原稿料だけで
食べていくのは難しいので、そのあいだの生活をどうするのかも充分
考えておきましょう。