音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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ホロヴィッツ

「アート・オブ・ピアノ 」.
というDVDを買ってみました。これは、ラフマニノフをはじめとする19世紀から今世紀までの巨匠ピアニストたちが演奏している貴重な映像が満載というDVDなんです。いま、「チェルニーを最小限ですませる方法」という単行本を書いていて、このへんの巨匠たちのことも書いているわけで、自分の本に出てくる人物たちがいったいどんな人だったのか、知りたくなってしまったんですね。ちょっと値段は高かったんですが、奮発してしまいました。
 そこにホロヴィッツの演奏が入っていたので聴いたところ、なんだか妙にハマッしまい、さっそく1965年にカーネギーホールで行ったカムバック・リサイタルのライヴCD.
を注文しました。きのうそれが届いて、聴いてみたのですが、音がばりっと華やかで、何かスリリングなものがあって、ついでにお客さんの歓声と拍手が異様なテンションで、妙に「もう一回聴きたい」という感情がよびおこされる演奏でした。特にシューマンの幻想曲がよかった。
 うーむ、あまりに見事すぎて・・・あの音が、うちにあるピアノという楽器を使って、自分と同じ形をした人間の手で弾いているという実感がまったく湧かないなあ。いや、レベルもクオリティもまったく違うことは百も承知なんですよ。それでも楽器がピアノだとか、弾いているのが人間だとか、そういうことさえ共通していないかのような、もっと別の生き物が別の世界で展開しているような感触があるぐらい、冴えていたのでした。しかし、今頃になってホロヴィッツがいいとかいっても、「なにを今頃・・・」って感じだよなー。でも、やっぱり「いい」のです。