音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

セミナースケジュールはこちらです。 山本美芽オフィシャルサイト

ありがとうの言葉もなく


大繁盛教室の先生は、ピアノの先生を雇っていらっしゃいます。でも、先生を見つけるのはとても大変だそうで、ご苦労が多いそうです。こんなお話を聞きました。

 


生徒さんが増えすぎて忙しいので、ピアノの先生をネットで募集しました。


時給2000円、車通勤可、一人からでも来てくださるかた
音大卒業もしくはそれレベルのスキルのあるかた
子供が好きで教えるのが好きな方交通費の支給はありません


1日で二人問い合わせがあり、来てもらいました。
ところが二人ともお会いして話もしたけど、あれじゃ生徒は集まらないのではと、うちも遠慮しておきました。正直、この仕事はいくらやりたくても向き不向きがあると思います。

最初のおひとりは一人は上から下までファストファッションの清潔感のない服装でした。化粧っけもなく、眼鏡をかけた30代半ば。
親元で暮らしておられる独身。ピアノは5人生徒がいるそうです。
ネットしようにもパソコンを買うお金もなく、勉強したくてもできない状況だそうです。本も多分昔からの教えられた本を教えておられるんでしょうね。
この方はコミュニケーション能力はありましたが、貧困を理由にしてあれができない、これができないと言っている方はからは何も生まれないと判断しました。

もう一人は、古楽器を勉強するためにヨーロッパに留学、10年間勉強して帰ってきましたとのこと。ホームページは立派なのを作っておられる。そしてお月謝の設定は1万円。
どこにもピアノの写真はない。
「あのね、お月謝一万っていうのは、コンクールにばんばん入賞させる、すごい先生の価格設定なのよ」
というと、
「ヨーロッパに留学行っていましたけど、これは高いんですか?」
とおっしゃるのです。
留学したことだけをお月謝を高くするネタにしてる。
そこに問題がある 社会のニーズを研究しようと思っていない。
そして、笑顔がない。
私がはっきり教えて差し上げてるのに、ありがとうの言葉もなく、去って行かれました。
どちらの方も、向いてないと判断しました。

*************

ピアノの先生は教育者なんですが、公務員ではなく公立学校の教員でもなく、人気商売でもあるのが現状です。専門的な知識に加えて、サービス・接客業的な、高いコミュニケーションスキルが求められます。
どんなに専門知識があっても、コミュニケーションスキルが足りないと、生徒さんを集めるのは難しいです。コミュニケーションスキルについては、私も随分セミナーや個別指導でお手伝いしてきました。私もまだまだ反省すべきことが沢山あります。ちょっと気を付けるだけで、コミュニケーションってすごくうまくいく場合もありますね。

ピアノは邪魔?

音大卒の先生から、結婚相手からピアノに理解が得られず結婚がうまく行かなかったメールが届きました。新築したのに防音の予算を削った時点から、すでに、コミュニケーションが上手く行かなかったようです。

「婚活会社の見合いで結婚し、新築一軒家を建てた。実家からグランドピアノを持ち込み近所の方にレッスンスタートと準備していたら、夫が、ピアノの音がうるさいと騒ぎたて、実家にピアノを持ち帰った。建築中から防音の話はしていたが、先方認識不足で予算を削り二重ドアや壁窓等がなかったから仕方ない。
体験レッスン前の挨拶にきた親子の雨靴の泥汚れを罵倒しDVやモラハラが始まったため離婚した。

ピアノ先生のパートナーは楽器を本人がするか若しくはピアノが鳴っていても平気で暮らせないと続かないだろうと思う。

以前入っていた混声合唱団には奥様がピアノ先生も数名いたがマンション買った途端海外辞令が出て、ピアノ先生するためのマイホームが活用されないことを沢山聞いた。

 

ピアノを売却したことにして実家に戻して 元々の生徒さん保護者に連絡したが、出戻り先生に習わせたくないとなった。

実家暮らし 母他界後 自営業家事手伝いをしながらも、知り合いの孫やピティナ紹介で生徒さんは5名になった。

生活費は父から預かる食費をやりくりしレッスンを続けたが生徒さんが増えず。

50を手前に親の介護 在宅仕事だと介護サービスが減ることを知り、事務仕事ででもと外に出ました。

もしも大学生の私に戻れたら、ピアノ先生の確定申告等や生徒募集を学ぶ講義が大学であればと思います。一度身につけた技術がまた活かされる時が来ることを願いつつ、ひとりでも多くのピアノの先生たちが、笑顔で過ごせるようメールさせていただきました」

 

結婚相手にピアノを理解してもらうのは、かなり大変だと思います。邪魔、うるさい、家賃かかる。

 

うちは結婚してすぐは団地住まいで、電子ピアノで我慢していました。一戸建てに引っ越してからは、リビングにグランドピアノを置いています。レッスン室を作る予算がなかったので。私の練習、息子の練習、レッスンは、平日の6時までに済ませています。休日は夫が出かけた隙に少しだけ弾けます。ステップなどで演奏するときも休日なので音出しはしないで、会場でぶっつけ本番です。いつも。

 

それでも、リビングが狭くなるのにグランドピアノを置かせてくれている夫には感謝です。夫は大学生のときの先輩なので、音楽科はこうだから仕方ない

、と思ってくれているようです。

 

コミュニケーションのスキルも絡んでくるし、

自分がピアノでどれだけ稼げるのかでも、家庭内での発言力は変わってくるでしょう。ピアニストをたくさん育てた実績があって1時間1万円でも生徒さんが集まるような先生ならば、また話はまったく別です。

ご主人にどれだけ大事に思ってもらえるかも、絡んでくるでしょう。

結婚しないでいくのも大変だけれど、

結婚すればなんとかなる保証もないということ、

若いうちは、わからない。

ご自分の例が、若い人が少しでも幸せを掴むための参考になればとの思いで、辛いご経験を寄せてくださった先生に、感謝します。

 

グランドピアノで練習を続けるというのは、本当に大変なことだと改めて思います。かなりの覚悟と努力がいります。どれだけ努力しても、うまくいかないことも、もちろんあるでしょう。

 

いま、大人になってからピアノを弾ける一瞬一瞬は、

両親と家族、これまでお世話になった先生や習いに来てくれる生徒さんなど、多くの人のおかげで生み出されています。

 

 

わたしのデビュー作、「りんごは赤じゃない」の太田先生は、モラハラ夫から自立するために実家に戻り、30代半ばで初めて教師になりました。大変なご苦労の末、美術コンクールで生徒が全国レベルで優秀な成績を数多く残し、私が取材に行くことになりました。

稼ぎの少ない女性は、さまざまなリスクにさらされています。

 

りんごは赤じゃない―正しいプライドの育て方 (新潮文庫)

りんごは赤じゃない―正しいプライドの育て方 (新潮文庫)

 

 



 

 

 

 

売れっ子は数をこなし、短時間で圧倒的な成果を出す

生徒が多いピアノの先生が、金儲けと批判されることに対して、ピアノ屋ドットコムの石山社長が、フェイスブックでコメントをくださいました。

 

「ピアノ調律の世界も一緒ですね。

調律を一日5台やる⇒手を抜いている
調律を一日に1台しかしない⇒丁寧にしてくれている

調律時間が早い⇒手を抜いている
調律に時間をかける⇒丁寧にやってくれている

こんな風に思っている人多いかもしれませんが、
1台当たりの単価をたくさんいただけるなら、1日1台でもいいですが、1日1台分つまり、月に30人しかお客様いないの?とびっくりしてしまいます。

本当に評判の良い技術者は1日5台も仕事があるほど行列のできる人気技術者で、それをちゃんとやるためのスピードと腕がある技術者だと私は思うのです。

新人調律師は1時間できちんと仕上げられません。時間をかけるんじゃなくて、時間がかかる、さらに長く持つ調律ができない。と思っています。なかには新人でも優秀な人もいますから、それはそれとして。

もちろん私の場合は、別途費用をいただいて、たっぷり時間をかけて整音、整調をすることもあります。

昔の上司から、技術の安売りはするな、とずっと言われていました。その技術を取得するのに、どれだけの時間と労力、費用がかかったとおもってるんだ、と。

また、私の会社では月に30台以上ピアノを売っています。つまり30家族の幸せを提供していると思っています。たくさん売って喜んでいただき、しっかり儲ける、それを社員に還元し、お客様には他より安く売ることができるようになり、そして税金をはらって社会貢献する、ということです。

30台も売ったら手抜きしないと無理じゃない、と思う人がいるかもしれませんが、ネットの世界でそんなことしたらイチコロですからね。

ピアノの先生も同じ。行列のできる先生、枠が空くのを待たないといけないくらいの先生が、私は超超一流の先生だと思っています。

ピアノ調律師としての目からみて、そんな先生は本気度が違いますよ。とにかく生徒がうまくなるように、ピアノが楽しくなるように、相当工夫をしています。

そんな先生を見ると、心から尊敬します」

 

ミュージシャンも同じです。

売れっ子の超一流になると、

毎日違うコンサートで15曲とか、1週間で100曲演奏してる人もいます。当然、1曲ずつ緻密に練習してる暇もないわけですが、研ぎ澄まされた集中力で、売れてない人とは比較にならないクオリティの演奏をみなさんしてますね。

 

さらにカリスマ、スーパースターの段階になると、

ギャラがものすごい金額になり

ときどき仕事するだけで暮らせますけど、

そこまでいってる人はなかなかいない気がします。

 

 

譜読みの力を伸ばす教本 表参道

譜読みの力を伸ばすピアノ教本セミナーを表参道で行いました。f:id:mimeyama:20170216212153j:image

 

 教本セミナー10回目にあたる新しいコンテンツ、初お披露目です。レジュメ18ページの大作!

 

音名読みと音程読みの違いからお話ししました。

 

読譜力は永遠の課題で、自分が子供の頃は、こんなワークも教本も何もなく、バイエルとソルフェージュ1冊のみで育ったわけで 、まだまだ勉強不足です。相対的譜読みも、取り入れたいと思いました」礒崎真帆先生

 

「色々な生徒がいれば、それぞれに合った方法で譜読みを教えなければならないですが、どうも、自分が得意な方法で教えがち…反省です」持田登代子先生

 

「先ほど小学2年生の生徒さんがたまたま1年生の時の鍵盤ハーモニカの教科書を持っていたので見せてもらったら、正にプレリーディングでした!時代に取り残されないように積極的に取り入れていきたいと思います」寺澤志保先生

 

最後に、視覚優位と聴覚優位の文献をご紹介しました。かなり信頼できる内容です。譜読みに関しては視覚優位の方が飲み込みは良いみたいですね。

 

天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル (こころライブラリー)

天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル (こころライブラリー)

 

 漢字が苦手な生徒には、視覚優位と聴覚優位で指導法がそれぞれあるそうです。では、譜読み指導は?これから研究していきたいと思います。



このセミナーは3月6日大阪

http://mimeyama004.hatenablog.com/entry/2017/01/21/103727

6月1日高崎でも行います。f:id:mimeyama:20170216213537j:image

【生徒が多いのは金儲け主義?】

たくさん生徒さんがいるベテランA先生からのメールをご紹介します。

生徒が多いと、商売だとか金儲けといって冷たい目で見られるんだとか。

 

「大体みなさん、生徒さんは多くて毎日6~7人じゃないでしょうか。私は大体毎日13人前後です。15人の時は(休憩なし)へろへろになります。
それを言うと
『え?私は7人で精一杯だなぁ15人も教えたら目が届かないでしょ、音楽を教えられますか?』とか言われる。

少ない人に限って、好きな音楽を教えてるから良いんです。とくる。
そもそも好きな音楽を教えてるからいいの。っていうのは上にちゃんと理由が乗っかってるなら良いんです。例えば、パートよりも時給がいいからそれプラス好きな音楽の仕事で。
とかね・・・
だけど、少ない自分を慰める言葉として「好きな音楽を教えてるからいいの」と自分で納得する為の言葉として使うのは違うと思うんですよね。
パートより良いからとか、子供を育てるのを優先にしたいからっていう理由はそれはそれでとってもいい事だと思うんですけどね。

例えば月に50万売り上げても、この仕事には何の保障もありません。
年収が600万だとしてもこの年齢で大きな会社に勤める人はこれくらい、それ以上、プラス保障、退職金もちゃんとありますよね。
それくらいを目標にしても、
商売商売してると言ってくる同業者の方。
音楽の伝道師として、お安く設定されてるのかしらと思ってお月謝を聞いたら、人並み。あれ?(笑)」

 

 

生徒さんがたくさん、毎日15人。レッスンが良いから集まるんでしょう。
商売って悪いことなんですかね。
教育だから商売ではないのかな。
でも続けていくには、商売としても成り立たせなくちゃ誰も赤字を補填、補助してくれないですからね。

1日カンヅメになってみる

ピアノの先生方にライティングセミナーを始めて3年あまり。

 

教室経営は保護者の理解なくして成り立ちません。一人ひとりと話す時間がないから、ブログやお便り、メールが役立ちます。でも発信慣れしていないと、せっかく書いても読んでもらえません。

 

3月5日に名古屋で開催のライティングセミナーは

一度のセミナーで3回分の内容。

朝から6時間、会議室を借り切ってのロングセミナーです。

 

[日程]
3/5(日)10:00-16:30(愛知)
[会場]
名古屋国際センター 会議室
(所在地:愛知県名古屋市中村区那古野1-47-1)
[受講料]
受講料:事前支払10,000円/当日支払11,000円
※飲み物・昼食代は別途集金します。1500円程度の予定です。
 おやつをご持参ください。
※定員【10名】
[使用教材]
【使用教材】単行本
羊と鋼の森」宮下奈都 著 (文芸春秋)要約で使います。一読してからご参加ください。
文部省 小学校学習指導要領 音楽編
[内容]
「話がまとまらずレッスンが長くなってしまう」
「お手紙を配ったのに話が伝わっていない」

こんなお悩みありませんか?
文章力、要約力、保護者目線は、指導者に必須の能力。1日でセミナー3回分のメニューを凝縮、少人数限定の特訓セミナーです。

申し込み

http://www.piano.or.jp/seminar/list/smmb_s_info/2014330

 

受講された先生のご感想
「今まで自分の中でぼんやりと考えていた事を美芽先生に言葉として引き出してもらえた気がしました。又、言葉として表し方のテクニックが学べた。10時から4時半までの長丁場、私には大丈夫だろうか、始まるまでは不安でしたが、終わってみるとあっと言う間でした」

 

 

「自分よがりにならず、保護者目線で書く必要性、客観性、他人にメッセージを伝えるテクニック等の内容で、自分は主にどういう生徒に教えたいのかや、信条を考えてみるべきだと気付かされました。客観性を持つということは、謙虚さにつながると思いました。地、で勝負できるように頑張りたいです」

 


「ブログの書き方については、各項目ごとに絞り、時には「どう書けばいいと思いますか」という投げかけもあり、考えながら答えを見つけることができました。教室紹介については、いくつかのパターンを示してもらいました。これからHPや、ブログの見方、や読み方が変わります。普段の講師活動の中では、学べない内容が盛りだくさんでした」

 

 

「ブログや、HPなどの作り替えを考えている今、即戦力となるアイデアを沢山手に入れることができました。落ち着く環境で、美味ケーキもあったことで一日の缶詰セミナーも時間があっと言う間に過ぎていきました」

5月は札幌と金沢

5月1日に金沢で教本セミナーきまりました。乗り換え編です。地元の先生の強力なご推薦で決まったそうで、本当にありがとうございます。なるべく前日昼には金沢入りしたいと思います。

 

5月18日は札幌の島村楽器さんで教本セミナーが決まりました。こちらは歴史と特徴編です。

 

*その他のセミナーは楽器店に直接お申込みください。

2月16日(木)
東京・表参道クラシックスペース
 ピアノ教本セミナー「相対的な譜読みの教本」
*ライティング研究会 主催 お問合せ、申し込みはこちらへ
3月5日(日)
名古屋 国際センター
1日カンヅメ ライティングセミナーhttp://www.piano.or.jp/seminar/list/smmb_s_info/2014330

3月6日(月) 東大阪 小阪楽器布施本店
ピアノ教本セミナー「相対的な譜読みの教本」
https://ssl.form-mailer.jp/fms/b6a10a44489114

3月21日(火) 表参道クラシックスペース
ライティング研究会 ひきあいセミナー 初級教材連弾「サブ・バイエル」1、2、「連弾サブバイエル」1

 


3月29日(水) 滋賀・草津 ロマン楽器
教本セミナー第1回
http://www.roman-gakki.co.jp/

 


4月18日(火) 横浜・中山 山響楽器
教本セミナー第2回
http://sankyo-gakki.co.jp/info/2017/01/17/2017zenki/



4月21日(金)
横浜・桜木町
カワイ
ピアノ教本シンポジウム 第3回
http://shop.kawai.jp/yokohama/

5月1日
金沢 楽器センター

5月18日
札幌島村楽器
ピアノ教本セミナー