音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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一気に読了「ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム」

ピアノ演奏を科学的に研究されている古屋晋一先生。ピティナでの連載、楽しみに読んでいましたが、著書が出たんですね。今日、ようやく手に入れて、一気に読んで、もう一度読み直しました。気になるページは折り目を入れちゃうんですけど折り目だらけ(爆)。

80年代から90年代に、脳の活動のようすを、MRIなどで、脳を傷つけずに観察できるようになって、脳のどこの場所で聴いているのか、言葉はどこで操作しているのか、などなど非常に細かい研究が進んでいるんですね。ピアニストの脳の働きは、研究対象として面白いもののようで、ものすごい量の英語の研究論文がすでに出ています。巻末の論文リストを見たらめまいが…。その英語の論文でわかった面白いところ、役にたつところが日本語でまとめられていて、ほんとにありがたい本です。

ジストニアの話はこれまでも読んだことがありましたが、この本でさまざまな脳のはたらきを理解したうえで改めてジストニアの説明を読むと、非常にクリアになりました。腱鞘炎なんかとは根本的に違う、練習しすぎて脳のなかに問題が発生して、楽器を弾こうとして指が動かなくなっちゃうということなんですね。

その他、初見や即興演奏、超絶技巧を可能にしているものは何かなど、ああ、私も理系の才能があったらこういう研究の道に進みたかった!!! とワクワクさせられてしまう本です。

演奏や練習、読譜のメカニズムが科学的かつ平易に明らかになっているので、これはすべてのピアノ学習者必読です。いま書いている私の本にも、引用させてもらいたい箇所がいくつも。

ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム

ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム