音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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松本倫子先生のチェルニー講座@町田 2011年9月12日

チェルニーの講座がある!! ということで行ってまいりました。

講師は松本倫子先生。桐朋を卒業してドイツで勉強された先生です。
その昔、桐朋では先生が変わるとチェルニーを何度も最初からやり直しさせられた、という話を青柳いづみこさんから聞いていましたが、やはり松本先生もチェルニー30番をやり直ししたそうで。「やっぱり!!」とか思わずつぶやいてしまいました。

松本先生がチェルニーの講座を頼まれたのが2年半ほど前で、それから、手に入る練習曲を全部弾いてみたのだそうで、いまは100番をやり直しているとのこと。30番、40番、50番については今回はお話がなく、比較的最近になって全音から出版されたテキストについて、主に紹介してくださいました。先生ご自身が弾いて、きれいだなと思う曲や、ベートーヴェンの「エリーゼのために」のアルペジオトレモロなどの音型などの準備に使える曲などが主に選ばれていました。


ツェルニー:やさしい20の練習曲
 これは全曲弾いてくださいました。成田先生がいろんなところからもってきて編纂された本です。

ツェルニー:125のパッセージ練習曲
 これは私もおすすめしていましたが、松本先生もおすすめされていました。特に大人向け。後半に「これなんかきれいでしょ」といって弾いて下さった曲がなんだかショパンみたいでした。

ツェルニー:小さな手のための25の練習曲
 きれいな曲が多いとのことで、確かにきれいでしたね。

ツェルニー:5つの音による24の練習曲
 バイエル中盤から使えるとのこと。

これらの楽曲について、松本先生は「全部やらなくてもいい、抜粋でいい」ということをおっしゃっていました。また、マルにする基準について、自分自身は暗譜でばっちり弾けるまでマルにしてもらえなかったけれど、自分の生徒たちにそんなことをやっていては永久に終わらないので(やっぱり!)、「ここの4小節ができたらマル」など、思い切って先に進んでしまうこともかなりあるとか。ただ、ある場所は集中してある程度テンポがあがるまで弾くことも大事だとか。

チェルニー100番も全曲やらないそうです。チェルニー100番は後半とても難しくなるので、前半を30番の前段階としてやらせるというのは一般的ですが、そこで100番も全部ではなく3分の1、目標は1年に10曲ぐらい、といったところだとか。

私が取材の結果、必要だと感じた「全部やらないで抜粋する」「曲のうち一部分でもよいからテンポをある程度あげて音楽的に」「目的意識をもたせる」ということは、松本先生も共通しておっしゃっていました。

ただ、生理的にチェルニーとかエチュードは受け付けないようなタイプの生徒さんはどうしたらいいのか? というような問題については今回のセミナーでは扱わず、あくまで「チェルニーの重要性とその使い方」がテーマになっていました。

これまでのように一律に30番以降を全曲びっちりやらせるようなやり方でなく、音楽的にもいいね! と思われるようなものを、100番・30番・40番・50番にこだわらず、成田先生がピックアップされた20番、小さな手の24、125番など、短いものを中心に目先をいろいろ変えて、目的意識を持ちつつピックアップして、1曲をいつまでも弾かせず、さくっと次々にやらせていくような方法が広がっていくといいなと感じました。

そうすれば、チェルニーはどうしてもやだ!! という生徒さんも生まれにくくなるでしょう。

ただ、音楽的な好き嫌いがものすごくはっきりしているとか、譜読みが遅いとか、手がふにゃふにゃしているとか、いろんな理由でチェルニーがどうしてもいやだ、または与えてもちっとも練習してこないという生徒さんもいると思います。

そういう生徒さんには、私の著書「21世紀へのチェルニー」でご紹介したような別のルートもあるわけで、音大受験やコンクールを目指さないならそれで何も支障はないわけですし、この点はピアノの先生にはやはり知っていてもらいたいなと感じました。

チェルニー やさしい20の練習曲 「30番練習曲集」の前に

チェルニー やさしい20の練習曲 「30番練習曲集」の前に

ツェルニー小さな手のための25の練習曲

ツェルニー小さな手のための25の練習曲

21世紀ヘのチェルニー 訓練と楽しさと 山本美芽/著

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