音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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ミーハーとライターは両立できるか 1

 ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、私って根っからのミーハーです。とにかく、ステキな音楽を聴いたり、ミュージシャンを目の前にすると「きゃあああ」と舞い上がってしまう。そんなことでライターと名乗っていいんだろうか、という思いがなかったわけではありません。だけど、私が書きたいという原動力って、すべてそのミーハー心から出ているんです。

 好きな人のことは、なんでも知りたいじゃないですか、と国府弘子さんがおっしゃったのを聞いて「そうよ、その通りだわっ」と強く共感したことがあります。どんなことでもいいから知りたい!! というエネルギーって、私の場合はミーハー心そのものなんですね。

 それが原動力になって、これまで書く仕事をやってきました。音大の図書館に通って古いジャズライフやキーボードマガジンなんかをひっくり返し、取材しようとするミュージシャンの昔のインタビューとかライヴレポートを発掘すると、「はー、この人ってこの頃こんなだったのね」と発見があって、楽しくてしょうがなかったくらい。この人はいったいどんな人間なのか、そういう好奇心を向けられる対象であればあるほど、聞きにくい質問なども気軽にできてしまったりしました。

 でも、そういうミーハーな自分って、もしかして音楽ライターに向いてないんじゃないか、って、ここ1年ぐらい思ってしまうのです。音楽についてだけ知れば、音楽雑誌の原稿は書けるはず。だけど、私は音楽だけじゃなくて、音楽をやっている人間への興味を抑えきれない。音楽じゃなくて人間についての比重が高まると、それは音楽雑誌の記事じゃなくて、ノンフィクションになってしまうんです。実際いま私はノンフィクションの単行本の原稿をずっと書いているわけですが、めちゃくちゃ悩みながらも「こーゆーのが書きたかったんだよなあ」「ミュージシャンの場合には聞かなくていい余計なことだったのが、ノンフィクションだと重要なディティールになるんだなあ」と思うことばかり。たとえば、あるミュージシャンにとって人生で重要なできごとがあって、それが音楽にどう影響したのか・・・みたいなことが、すごく知りたいんですよね。