音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

セミナースケジュールはこちらです。 山本美芽オフィシャルサイト

結果だけを見ると、育たないものがある

合唱伴奏についてのよもやま話を各地の先生方から伺います。オーディションの形はとっていますが、結局、うまい子は決まっていますし、発表するならなおさら、うまい子が弾いて上手にまとめようと思うのが先生の自然な心理。

教育ということを考えると、伴奏に選ばれたくていっしょうけんめいピアノを練習してうまくなる子たちがいるんです。ただ、いちばんうまい子と大差ないならともかく、もとからそれほど上手でない子たちが頑張っても、結局、なかなか選ばれない。そのような選択が教育者としてどうなのか、というツッコミもできるでしょうが、けっきょく、ステージに出てきてうまい演奏をすれば「先生が指導力がある」、子どもがやる気なくて演奏がよろしくなければ「指導力がない」ということになる。指導力があると思われたい、それを責めることはできません。

並べて他とくらべたら声があまりでていない、伴奏がいまひとつ、結果だけ聴いてそのように思ってしまうのも、聴き手としては自然な心理です。

教育の場に対しては結果だけでなく子どもたちがどれぐらい伸びたのかという目で評価をしていかなければ、うまい子を伴奏に選んで演奏が格好ついた。それで済まされ、いちばんうまくて伴奏に選ばれた子以外の、伴奏という経験を通じた成長まではいちいち考えられない。その構図は変わらないでしょう。みんなが結果だけを聴いている限り。

あくまで大雑把な傾向としての話です。さまざまな子たちに目をくばっている先生たちもたくさんいらっしゃるであろうとは思うのですけどね。