音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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コンクールは、真剣さを引き出すために利用する。

地元の橋本では七夕祭りがありました。地元の幼稚園、小学校、中学校などあちこちから笹が出ていて、短冊にたくさんの願い事が書かれています。f:id:mimeyama:20150813180341j:image

木管六重奏で金賞がとれますように」

 

という中学生の短冊を見たとき、「コンクールの意義ってこれに尽きるようなぁ」としみじみ思いました。アンサンブルコンテストを目標にした吹奏楽部員の生徒が書いたのでしょう。

 

木管六重奏。素敵には違いありませんが、編成としては若干、いや、かなりマニアックです。吹奏楽部に入る前、木管六重奏に、きっとみんな興味はなかったことでしょう。もし金賞、銀賞などの結果に差がつかない「出るだけ」のステージだったら、ここまで真剣になっていたでしょうか。きっとなっていない。きっと、金賞の学校のアンサンブルを聴いて凄いと思ったから、金賞をとりたいと思ったのでしょう。

 

木管六重奏で将来プロになって活躍できそうかどうか。あまり現実的ではないでしょう。でも、そんな将来のことなんてどうでもよく、金賞をとった学校がきっと格好良くて、あんなふうになりたい、というシンプルな思いなのでしょう。

 

音程にリズムに歌いかた、表現にアンサンブル、限界を目指して全力を尽くしたら、認識力や判断力、精神力、楽器の演奏だけに限らず、いろんな面で明らかに伸びるに違いありません。

 

アメリカに5年間住んでいたとき、娘の小学校にスポーツデイという名前の運動会みたいな日がありましたが、みんなで楽しく運動するだけで、勝ち負けや順位はつけませんでした。和気あいあいと、それは楽しかったですが、真剣さは、ほとんど、なかったなぁ。日本の運動会と比較してしまうと「なに、このヘラヘラした感じは」と思ってしまったくらい。おそらく逆の立場で日本の運動会を見たら「なんでこんなに競争ばっかりしてるのかしら。楽しくなくなっちゃう」と思うのでしょう。

 

コンクールや試合で勝ち負けや順位をつけるのは、真剣さを引き出し、全力を引き出すためです。

 

ずっと負けている人、勝てる見込みがない人は、やる気がうせるので、参加しないほうがいいと思います。勝ったり負けたりしている、勝てる見込みがなんとかあるぐらいの場合は、とても力がつくでしょう。

 

結果が出なければ、それほど真剣にならない、それも人間の一面ではないでしょうか。真剣になって全力を尽くす場所としてコンクールや試合は利用すればいいだけのこと。

 

もちろん真剣にやれば、負けたら腹立たしいし、面白くない。ただ、そこで、自分はだめなんだと思ったら、それが本当の負け。挑戦する前と後で、確かな成長や経験を手に入れた人が、本当の勝者なのです。

 

要するに、成長しているかどうかが問題なんです。

 

結果以上に、自分自身のビフォア・アフターを冷静に観察することがポイントです。