↑youtubeにアップされていたスライドショー。私が撮ったものではありませんが、こんな景色を見てきたので、リンクさせていただきました。
ゴールデンウィークはじめの3連休で、長野県南部の「阿智村」に行ってきました。トンネルのちょっとむこうは岐阜県。宿の駐車場を見ると、尾張小牧とか名古屋方面のナンバーばかりで、関東から来ているのはうちだけ! なんだか遠くに来ちゃったね、と夫と顔を見合わせました。
たまたま温泉旅館のお得なプランを見つけたので出かけたのですが、中央道を西に西に走らせていくと、新緑から、だんだん標高があがるにつれ、山の中に桜が無造作に咲き誇っています。諏訪のあたりは高速沿いの山いちめんに咲く桜から、花吹雪がフロントガラスに吹き付けてきました。
アメリカにいたころ、どれほど夢見ていたでしょう、この日本の春の景色を。
今の時期の南信州は、桜、花桃、水仙…そこらじゅうに花が咲き乱れていて、見渡せば南アルプスと中央アルプスが。それぞれの頂上には白い残雪がまぶしいほど。
今回の旅のメインイベントとしましては、駒ケ岳のロープウェイで山頂まで上りました。ふもとの駐車場に車をとめて、そこからバスで40分、細い山道をぐねぐねとのぼり、ロープウェイ入り口へ。そこから一気に1000メートル近くのぼります。
頂上に着くと、ふもとから見えていた雪の世界!! っていうか、スキー場!!! ロープウェイの建物の1階部分が雪に埋まっているし、神社の鳥居の上の部分が雪に埋まって私の腰ぐらいの高さに…。あまりに深い雪に「靴に雪が入っちゃったよう」と4歳の息子は泣きべそ(苦笑)。良い天気だったので、南アルプスまで見渡せました。
駒ケ岳のロープウェイ頂上にあるホテルスタッフのブログ。これを見ると、まだ、雪かきをしてやっと掘り出したホテルに、ずっと雪で曇っていた冬山に、さんさんと春の日差しが降り注いだ最初の日に私たちは行ったみたいです。しかしサングラスを忘れたので目が痛かったー。まぶしくてあまり目があけられないくらい。http://www.chuo-alps.com/ropeway/blog/index.html
下におりてからは、見ごろを少し過ぎたぐらいのしだれ桜を見に、駒ヶ根市内の「光前寺」へ。お寺のなかは、どこもかしこも桜でいっぱい。観光バスもがんがん到着。でもぜんぜんお金を払う場所もなく、無料で見られちゃうんです。すごい。
そしてお寺に向かう途中の田んぼの脇に、水仙がびっしりと咲いています!!! お寺の前にあった老舗っぽいおそば屋さんに入り、天ぷらそばを頼むと、なんと「ふきのとう」の天ぷらが!! 生まれて初めて食べましたよ! ちょっと苦味があるけれど、歯ごたえがあって、なかなかいけました。
山のふもとにあるお寺の敷地では、あちこちに水の流れが。駒ヶ岳にあれだけ雪があったのだから、雪解け水なのでしょうね。
宿の食事でも、春の山菜がそれはたくさん出てきましたた。たけのこ、ぜんまい、わらび、こごみ。馬刺を食べたのは生まれて初めて!!! ちょっとドキドキしながら食べましたが、特に抵抗もなくおいしく感じたので、ほっとしました。
泊まった宿は、山の中にぽつーんと一軒だけある旅館。露天風呂なんかは本当に渓流沿いの山の中。まるでニホンザルになった気分(笑)。夜中にもう一度行くと、星がきれいでした。
いつも旅番組で、海水浴とか、露天風呂とか見ると、すぐに「うわ、行きたい!!」と反応してしまう自分が不思議だったのですが、露天風呂も海水浴も、自然のなかに溶け込むわけで、それを無意識のうちに求めているのかな、と今回感じました。
3日目の朝、昼神温泉という近くの温泉街に寄ると、ちょうど「花桃」の見ごろを迎えていました。川のほとりに並木道があって、あちこちに花桃が咲き乱れています。花桃って、こいピンク・ふつうのピンク・うすいピンクの三色の花がひとつの木に咲いているんですよね。不思議です。
朝市に行くと、わらびの束が150円ですって。びっくり。うちの近所では、わらび自体売っていません。ここには、ほんとにいっぱい生えているんでしょうね。
ほかにも、コーヒー味の煮豆だの、豆にきな粉をまぶしたものとか、乾燥ブルーベリー、乾燥しじみ、たけのこの煮物、ラ・フランス入りバターケーキ…やばい。気がついたらすごい量を買っていました。言い訳としては、試食すると、どれもすっごくおいしくて、お店の人もまた「もう閉めるところだから。全部食べていいよ」とか、すごく気さくで。子どもたちと一緒になってばくばく食べていたら、なんか、買ってしまって…(爆)。夫が戻ってきて「えっ? いっぱい買ったね?」というひとことではっとわれに返り。あそこでわれに返ってなかったら、倍ぐらい買っていたかも。でも、それぐらいおいしかったんです!!!
朝市のお店の方と、少し話しました。
「いいところですよねー。景色はいいし、食べ物はおいしいし」
「うーん、でも、なんにもないところだけどね(笑)」
そうだろうな。住むとなると、たぶん、人間関係も固定されるし、刺激は少ないし、つまんない、と思うこともあるのだろうな。
私の住む住宅地は都会ってほどでもないけれど、この信州のような美しい自然はない。でも確かにここよりは刺激は多い。
桜も水仙も花桃も、みんな地元の人が植えたもの。大自然がはぐくんだものではあるけれど、勝手に生えたものではない。美しいこの春の景色は、大自然と、この地に住む人たちがつくりだしたもの。
ふだんは100円ショップやユニクロで、メイドインチャイナの安い品物を買って「家計をやりくり」と自己満足している私だけれど、たまには、こんなに美しい日本の地方のためにささやかだけれどお金が使えて、よかった気がしました。
20年ぐらい昔は、ケーキやクッキーならば喜んでいましたが、山菜だの、豆だの、しじみには、きっと私は興味はなかった私。
でも今は興味ありありです!!!
昔は「そういうのは、おばちゃんくさい」と思っていました(笑)。私もおばちゃんになったということかな。でも、地味だけれどほんとうにおいしい大地の恵みのすばらしさ、その価値が、しみじみとわかるようになったんです。今。
朝市で会ったおじさまとは、こんな話もしました。
「しかし、食べ物のおいしさは、ものすごくないですか?」
「そうだね、やっぱり、水がいいんだよね。なんていっても水だよね」
そう、実は南信州まで来たのは、放射能の心配がないエリアまで行って、放射能の心配なしに過ごしたかった、というのもあったんです。
まだ、ここは汚染されていない…。
これ以上、汚染された場所を絶対に増やしてはいけない…。
おいしい、おいしい、とはしゃぎながら、そんな気持ちが心のどこかにありました。
日本の春のすばらしさを五感で感じた旅でした。