音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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幼稚園バザーにかける膨大な労力がもたらす、ある効果

きのう土曜日、無事に幼稚園バザーが終わりました。
あの暑さのなか、園庭ではやきそば班、ジュース班など食べ物系のお店を担当するお母さんたちは汗を流し、園の駐車場では、輪投げやスーパーボールすくいなど、縁日のゲーム系のアトラクション?? が開催され、こっちもすごい暑さだったと思われます。そして私だけはなんと運がいいことに(申し訳ないことに?)、2階のクーラーがきいた部屋で、手作りの通園バッグの販売をしていました。「やきそばのにおいがたまらないよね!」とかいいながら。

朝の7時半集合、10時にバザー開始、1時終了、3時には片付け終了。
無事に終わってよかったー。今日は親子ともにすっかりバテていました。

郷に入っては郷に従えということで、とにかく「毎年こうだから」といわれるがままに、必死に通園バッグやら上履きいれやらを作るお手伝いをしました。大変ながらも、ほかのお母さんたちともお友達になれたし、まあ、これはこれで楽しめました。

しかし果たしてこれが必要なのか? と冷静に考えると、難しいものがあります。
誰のため? なんのために、50人ぐらいの大人が、パートに就職したかのごとく、週に2日も3日も午前中をつぶして集まってまで、バザーを開催しなければいけないのだろう? それにどんな意義が? 

みんなが楽しい。

もちろんそれには同意します。

でも、ここまでの膨大な労力をかけなくてもいいんじゃ? と、思ってしまいます。

実はアメリカの小学校でも、同じように膨大な労力をかけてお祭りをやっていたんですが、その目標は、あくまで、パソコンなど備品を買うための資金づくり。教育環境を整えるという明確な目標があり、私はもう金額はうろ覚えなんですが、10万とか20万とかじゃなくて、60万とか100万とか、相当な利益をあげて、しっかり学校に寄付していました。お祭り終了後には、「いくら利益が出て、何が買えました」と報告が来るのです。なので、お祭りはやらないとね、お祭りでお金を使うのは学校への寄付みたいなもの、と納得していました。

でも、幼稚園バザーは、特に利益を出す目的はない、というんです。
なので、やきそばは250円、うわばき入れは600円と、たいして利益が出ない、売れ残りなどを出したりすれば赤字になるんじゃないかとひやひやするような価格設定になっています。
まあ安いほうが利用者としてはいいですけど、でも、それじゃ、なんのためにやるのか???

まあ、私の場合、原稿料に対する原稿作成時間をいつも計算するようにしているので、1時間あたりの時給というのが頭のどこかにあり、「これだけの人数の大人を週に2回も拘束したら、いったいいくら払わなくちゃいけないんだろう」とか、つい考えてしまうんですね。そんなこと考えているお母さんなんて私だけか(笑)。

おそらく意義がないわけではありません。それは、これだけPTAに時間を拘束されるのが絶対に嫌だ、困る、という人たちを、入園させない効果です。

お金が余っているわけではないかもしれないけど、両親そろっていて、お母さんは専業主婦か、仕事していたとしてもパート程度で、まずは家庭が優先。子どものことを第一に考えるだけの心理的、物理的、時間的余裕・・・余裕というのは語弊があるかも、余裕まではないかもしれませんが、最低限の必要ラインは満たしている、そんな家庭ばっかりだな、と感じます。

だから、「えっ?」と目が点になってしまうような、常識自体が異なるかも、と思うような人がいなくて、居心地は良いです。

みんな、うちの園のお母さんたちは、PTAのノルマやら仕事に対して、「一生懸命やらなくちゃ」と、みんな前向きです。日本の幼稚園って、なんかすごくしつけのいい、礼儀正しい、身奇麗な子ばっかりじゃない? と私は入園式の日に感心していましたが、どうしてどうして。娘の行っている公立小学校では、うちの幼稚園のお母さんたちとは違うタイプのお母さんも子どもたちもいっぱいいますし、そんなに誰もが身奇麗で礼儀正しいわけでもないようです。

だから、おそらく、PTAの仕事は、そのまま減らさないほうが、いろんな意味で、いいのだと思います。私が息子の幼稚園を選んだのは、たまたまご近所でポピュラーな園だからという非常に安易な理由だったのですが、保育園とはかなり違う世界のようです。幸いにして、特に浮いてしまうこともなく、アメリカに住んでいたとか原稿を書いていると話して「自慢してる」だの陰口をたたかれることもなく、なじめたようなので、ほっとしています。

幼稚園は、昭和的なものをずっと受け継いでいるように感じます。帰りの歌を息子が覚えてきたのですが、私が幼稚園のときに習った歌と同じなんですよね。ほかにも、こちこちかっちんおとけいさん、とか、うん、私も歌った! っていう懐かしい、昔ながらの歌ばっかり。とってもいいことだと思っています。

これからの日本で、こういう昭和的な家族のライフスタイルを前提にした「幼稚園」というものが、どれだけ残っていけるのか・・・。こういう親の人手を贅沢に使うやり方のPTAで、PTAの運営や生徒募集にいつまで支障をきたさないでいられるのか。私としては、これからもこのままでいてほしいですが、まあ、日本経済とか、社会の様子しだいでしょうね。