NHKの連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」がもうすぐ終わってしまいます。テレビ小説なんて、子どものころに「おしん」を見たとか、大学生のころに「ひらり」を見たぐらいの記憶しかないのですが、「ゲゲゲの女房」だけはきっちり毎日見ていました。
なぜ15分で終わってしまうのか。昔はその理由がさっぱりわかりませんでしたけれど、今はわかります。15分だと、家事の手をちょっと休めてなんとか見られるんですよね。子どもたちがいると、30分とか1時間のテレビ番組を見るなんて、まず無理。15分間、日々のささやかな楽しみでした。
水木しげるさんの仕事ぶりを見ていると、フリーランスの厳しさがしみじみ伝わってきます。最初の貧乏時代の様子は、いやほんとに、私も筆一本で大黒柱で家族を養うとしたら、極貧生活もありえたなと、ひとごとではないいたたまれない気持ちで見ていました。
貸本漫画業界が斜陽になり、仲間がひとりふたりと去っていく様子は、ちょうど今起こっているジリ貧の雑誌や新聞業界そのまま。これも身につまされました。
アシスタント君がデビューをあせっていたときには「もっと勉強して描きなさい、あせったらいけん」…まさに。早く本を出したい、と思ってあせっていた昔の私そのまま。苦笑い。
そう、そんなふうに水木しげるさんのほうに、わりと共感するほうが多かったのです。奥さんのふみえさんじゃなくて。
しかし、ああいう奥さんみたいに支えてくれる人がいたからこそ、水木しげるさんも世に出られたに違いありません。その裏方の奥さんのほうを主人公にして光を当てているところに、外では仕事をしないけれど大きな働きをしているって実感できるから、世の奥様方の共感が集まったのかも。
でも、私には、ふみえさんみたいな奥さんはいないし、宇宙飛行士の山崎直子さんみたいに、一家の大黒柱になれたらいいけど、それもすぐには難しそうだし。
ふみえさんのやってらしたことは素晴らしいと心から思うけれど、あんなふうに内助の功に徹するのは、私には向いていないし、できないしなあ…。
かといって、水木先生みたいな仕事をするには、家のことなんかなりふり構わず仕事に没頭しなきゃだめなのかも。しかし、私がそんなふうになったら家族に悪いしなー。
と、なんだか、見ていると複雑なんですよね。ま、その「複雑」というところが、現代の日本社会が抱える問題に対して、何かを投げかけている秀作だということでしょうか。
ふみえを演じた松下奈緒さん、東京音大付属高校に通っている高校生のころから「ショパン」に出ていたのでずっと見てきましたけれど,いい女優さんになられましたね。

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