今回参加したアラスカクルーズのハイライトは、船から見たハバード氷河です。
前の晩のディナーのとき、ウエイターさんが「明日は早く起きたほうがいいですよ。6時半には起きたほうがいいですね。7時半には、ハバード氷河に着きますから」といいました。
ウエイターさんをはじめとするクルーは、半年以上のあいだずっと同じ船に乗って休みなく働いてるので、クルーズの旅程については詳しいわけなのです。アドバイスは聞いておこうと思い、とにかく急いで寝て、早く起きることにしました。
翌朝の6時半ごろ、「ごごごごごごご〜」という地鳴りのような船のエンジン音で目が覚めました。私たちの部屋には窓がないので、急いでテレビをつけて、外の様子を見ました。そう、外の様子が常にカメラで見られるんですよ。すると、氷らしきものが海にぽこぽこ浮いている!!!!!!
これを見逃したら大変です。娘を大急ぎで起こして着替えさせ、冬物のジャンバーを着せて、私もありったけのセーターやカーディガンを重ね着してマフラーや帽子などを着込みました。そして抱っこして甲板に出てみると・・・
ほとんど冬、といってもいいくらいの湿った冷たい風。
びゅーーーーと体が冷えました。寒いです。
曇っていることもあり、余計に寒いです。
船は山あいの湾を航海しています。山には家も道路もありません。どこまでもどこまでも、ひたすら山が続きます。
そして海には、氷塊が数え切れないほど浮いています。流氷みたいですが、色が違います。氷河特有のミントブルーのような、不思議な色をしているのです。これは、この先にある氷河の氷が溶けて海にボロボロ落ちたもの。そう、これからこの子たちの親玉のところへ船が向かうのです。
寒いいいいい〜。娘は寒いといってぐずり、コアラのように夫にしがみついて、ウインドブレーカーの中に入ってしまいました。まわりにはコートを着ている人も。うう、もっと重装備にしてくればよかった。…なんて震えているうちに、山の斜面に雪ではなく氷河が見えはじめました。色が青いので、すぐにわかります。
そのうち、山から海に直接滝のように流れて落ちている巨大氷河が見えてきました。滝のよう、といっても幅がものすごいんです。行ったことはないんだけれど、ナイアガラの滝みたいに横幅が果てしなくあって、それが全部氷河になっていました。船はずんずんと進み、氷河の正面まで行って止まりました。
氷河は、ずっと昔、山に降った雪が凍り、ものすごい圧力がかかってできるので、ふつうの氷よりも空気を含んでいて、そのためにミントグリーンみたいな不思議な青をしています。なんて不思議な色なんだろう・・・。
氷河の表面は、ほこりをかぶった車のようにあちこち黒っぽく泥で汚れています。でも、海に流れ落ちている場所は、きれいな中身の氷の部分がよく見えるのです。
ごごごご、ずどどどど、という音がしました。あわててそちらを見ると、氷河が海に崩落する瞬間でした。4−5回は見られたでしょうか。こうして少しずつ海に氷が落ちて、氷塊になって漂い、そのうち解けてしまうのでしょう。
すごい、すごいと興奮しているうちに、船は動きだしました。時計を見ると朝の7時半ごろ。だんだん遠ざかっていく氷河に、娘と一緒に「氷河ちゃん、バイバイ」と手を振りました。そして急いで室内に入り、「寒かったね〜」と一息つきました。
早起きしたのでお腹がペコペコです。甲板の下のビュッフェに行って朝ごはんを食べました。
その日はずっとクルージングだったので、部屋に戻って「氷河すごかったね〜」「でも寒かった」「眠い・・・」ということで、みんなで爆睡しました。
というわけで、私たちが訪れたグレイシャーベイ国立公園のサイトはこちらです。写真はこちらで見てみてくださいね。ここの写真のように晴れてるときのほうがやっぱり氷河はきれいです。私たちが行ったときは曇っていたのでちょっと感じは違いました。でもすごかったことには変わりありません。