音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

セミナースケジュールはこちらです。 山本美芽オフィシャルサイト

音楽を仕事にするかしないか、その基準は

最近ミクシィをはじめて、たくさんの音楽ライター志望者、音大受験しようかどうか迷っている人、演奏活動に専念すべきか迷っている人のプロフィールを見るようになりました。

「何かアドバイスを」みたいなことが掲示板に書いてあると、一瞬手が動きかけるのですが、「う〜ん・・・」と唸って結局何も書けないままになってしまっています。
 
 問題は、食べていけるのかどうか、という点にあると思います。

 私自身、シンプルな原則として「自分が何か(原稿書きでもピアノ演奏でも、教えるのでも)仕事をして、その結果いただける金額は、どれだけ他人の役にたてたかによる」と考えています。 

 私自身を例に少しお話しましょう。
 別にピアニストになろうなどと大それた野望は抱いたことがありません。でも、子どもの頃から楽器を弾いたり歌を歌ったりするのは、大好きでした。大学の卒業演奏会にはピアノを弾きましたが、大学のなかでも特に目立つほどの腕前だったわけではありません。音楽室で、ラヴェルの曲を鑑賞するときに「水の戯れ」を弾いてあげると生徒がとても喜んでくれる、そのくらいでした。自分ではそれだけ弾ければ充分幸せだと思っています。

 その後ライターとして初めて雑誌原稿を書いたのは、「教育音楽」の編集部に「ライターとして使ってください」といってファックスを送ったら仕事がもらえたからです。内容は研究会のレポート。すごく良い内容の研究会だけど、行けない人もいるわけで、いけなかった人に少しでも当日のエッセンスを伝えたいと思いながら書くわけです。

 その後、インタビュー、ライブレポート、特集記事、本、というようにどんどん「私」というフィルターが強いものを書くようになりました。

 ピアノを弾いているときにはわからなかったけれど、ライターになってから、なぜか直観的に最初から「人の役にたつ文章でなければお金はいただけない」と、強く思っていました。

 面白いとか、有益な情報が載っているとか、読み手の役にたてれば、そのお礼としてギャラがいただけるわけです。そして、そのギャラが一定のラインを超えると、専業として成り立つわけですね。

 自分が書きたいから書くのは当然なんですが、お金をもらう場合には、読者の役に立つのが至上命題だと思ってます。ピアノの演奏でも同じなんじゃないかなーと思うんです。日ごろのしがらみを全部忘れさせてあげる癒しパワーが強ければ、たくさんの人が惜しげなくお金を出すだろうし、別にたいして気分転換にもならなければ、わざわざお金は出さない。

 だから、食べていけるかどうか、プロになれるかどうかは、本人のやる気がどうのこうのというより、聴き手、読み手が決めることなんです。みんなが「あなたの音楽が必要なの」といい、それが言葉だけではなく、大変な思いをして手に入れた貴重なお金を払うという行為を伴うこと。

 勉強して研鑽するのは尊いことだけど、その結果、自分が誰かの役にどれだけたつ存在になれるのか、客観的に見ておく必要があります。

 余談ですが、じゃあ、プロの書き手にとってのブログって何なんでしょうね。
 私の場合は書きたい放題ではなく、一応、どなたかの役にたつんではないかと思われるもので、自分が書きたい話を書くようにしています。