音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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ピラミッド@STB139

ピラミッド=鳥山雄二(g)、和泉宏隆(key)、神保彰(ds)、9月4日のSTBライブに行ってきました。
この日はチケットがあっという間になくなり、キャンセル待ちだけでも数十人だったとか。改めて人気の凄さがうかがえます。
まだ大阪公演が残っているので、詳しくは「続き」をどうぞ。

まず、ライヴではベースは入るの? というのが疑問でしたが、主に前半は3人+コンピュータのシーケンサーにあわせた演奏でした。ウッドベースの鳥越さんは主に後半、一緒にやってました。ピラミッドのサウンドには、鳥山さんが作ったハイクオリティなコンピューターのオケが必要なのは確かに納得。演奏のクオリティの高さには、ただただため息が出ます。ただ、ライブならではの「ソロが長くなっちゃった」みたいなハプニングがそれほどないわけなんですよね。そこまで求めるのは欲張りでしょうか(笑)。

楽器関連ですが、和泉さんはグランドピアノ、ヤマハのエレピS90(と見えた気が)、エレクトーン「ステージア」。これを曲によって使い分けていました。ピアノの音はピアノ、エレピの音はエレピ、その他の音はエレクトーンですね。和泉さんがエレピでメロディをとる姿なんて久しぶりに見ましたけど、ううう、実に素晴らしい。片手でメロディをなぞるぐらいだったら私でもまねできそうなものがいっぱいあるんですが、絶対ああは弾けない(当たり前なんだけど)。何がどう違うんでしょうねぇ。ほんの微妙な呼吸とか、打鍵と離鍵のタイミングとか、もう、言葉では説明できない領域が何か素晴らしいんだろうな。

神保さんは多分あれはヒップギグというちっちゃなドラム。すごくいい音がしていました。
鳥山さんは、まずステージに透明ギター・・・じゃわけがわからないですね、弦を張った部分は普通だけど、本体の部分が金属でギターの形をなぞっているだけで、ボディがない形のギターがありました。それはセッティングというか、すぐ弾けるような形で置いてあります。そして赤っぽい光沢の美しい、セミアコとフルアコの中間といっていたギターとか、エレキギターとか、数え切れないぐらい持ち替えてました。そして曲の途中で、構えているギターはそのままぶらさげたまま、台にセッティングされているギターを弾く場面がありました。鳥山さんのギターは端正で完成されていて、美しくてダイナミックで、もう、うっとりでした。

気になる曲目については、まず、ファーストアルバムの曲はほとんど全部やったんじゃないかと思います。どれもいい曲ですねー。改めて感激。それからさらに、鳥山さんがギター1本で正統派ジャズの演奏をされていました。
後半、新曲としてのカバーがものすごく良かったんですよ! クルセイダーズ、デオダート、ボブジェームス! ちょっと、ファーストアルバムでやっているのよりも、さらにカッコよくないですか!? それから、和泉さんが「分数コードが難しくて」とこぼしつつも見事に弾いていた鳥山さんの新曲。その分数コードは、オシャレでした。

「われわれは70年代クロスオーバーの伝道師ですから」と和泉さんが笑いながらおっしゃっていました。そうかー! 確かに、フュージョンが超絶技巧化する前のまったりしたよさのあった時代が、70年代のクロスオーバーなんですね。ピラミッドから感じられるバランス感覚は、そこから来ているのかな。

この日客席は、30代、そして40代と思われる人の姿が目立ちました。10年ぐらい前には「うわ、カッコいい」と目をひくようなマダムがジャズクラブにいるなんて、あまり見た記憶がないです。私が気がつかなかっただけとか、ライヴの演目そのものに由来する可能性もありますが、それでも、最近、急にミドルエイジのお客さんが増えてきたきがするなあ。そうやって書いている私も、思いっきりミドルエイジですが、いい傾向だと思います。

そんなわけで、この日演奏された「アファーメーション」。ファーストアルバムでカバーされたこの曲、和泉さんがピアノで弾くメロディが実に心にしみました。オリジナルのジョージ・ベンソンの「ブリージン」、そういえばうちにあったじゃん…(っていうか、アドリブでフュージョンの原稿を書いている人が、持ってなかったらさすがにヤバい)。早速探してきて、本家の「アファーメーション」聴いています。よいわぁ〜。

次回は12月27日? ごろに公演があるかも? ということでした。もっとライヴいっぱいやって!!!DVDも早く出して!!!! …こんなに飢餓感をあおってくれるバンドも久しぶりです。