音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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映画「スウィングガールズ」

行こう行こうと思っていた「スウィングガールズ」、やっと観て来ました。
 ・・・音楽室と金管楽器が出てきただけで、もう、吹奏楽部の顧問時代に頭がフラッシュバック(爆)。テナーサックス役の女の子が、当時の教え子になんとなく似てたし・・・。懐かしすぎて涙が出ました。・・・で、最初は懐かしさに浸ってたのですが、だんだんストーリーにひきこまれて。一番驚いたのは、出演している女の子たちが、どんどん楽器がうまくなっていくこと。

楽器を手にして1年ぐらいで、あれほど吹けるようになるなんて、信じられない・・・。音程もリズム感もかなりのもので、ラストの演奏なんか、ものすごい迫力。お客さんたちがノリノリになって拍手喝さいしていたけれど、撮影なんか抜きしたって、あの演奏にはエキサイトするでしょう。
 ブランド物をぶらさげていた女の子たちが、スーパーの前で演奏している友達を見て、あわてて楽器を買いに走り、「ブランド物を売れば買えるんじゃない?」といわれ、結局ブランド物を売ったのか、楽器を手にしてバンドに参加しようとやってくるシーンがありました。実に笑える。それでいて、今わたしが書いている「音楽家とルックス」にも通じる、非常に象徴的な出来事だと感じました。 
 若くてぴちぴちした女の子が、流行の洋服を着ておしゃれしていれば、それなりに人目をひきます。
 だけど、カッコいい音楽を演奏している姿というのは、そうしたファッションだけでは太刀打ちできないほどの輝きがあるのだと。ブランド物を楽器に持ち替えた女の子たちは、着飾ることよりも、カッコいい演奏をするほうが、注目を集めて主役になって輝く方法として、ずっとてっとりばやいのだーーと、瞬時に理解したのでしょう。ほんとに、演奏しているスウィングガールズたちは輝いていました。
 誰かの前で演奏しているあいだ、人間は自分の人生の主役になれるのだと思います。ほんとうはいつだって、自分の人生の主役は自分のはずなんだけど、なかなかそんな実感を味わえることは少ない。だからこそ、楽器を演奏することは、素敵なのでしょう。