音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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美貌のヴァイオリニスト

 日曜日の夜11時にテレビをつけると、ヴァイオリニスト川井郁子さんがレギュラーで音楽番組の司会をしています。毎回のように、彼女はゲストと演奏するのだけど、その演奏する姿が本当に色っぽい。口が半開きになって、陶酔感をただよわせ、常にのけぞり気味の姿勢。この角度から女性を見るのって、同性でも、なんだか見てはいけないものを見てしまったような感じなんですが、気にしすぎ? いつも寒いんじゃないかと心配になるぐらい肩とか胸元とかばばーんと開いたドレスだし。でも露出度は高いんだけど、ぎりぎり下品でないところがさすが、クラシックの音楽家ですね。あれだけセクシーなたたずまいなのに、演奏はきちっとしているところも、ミスマッチというか、さすが。彼女の場合、あの艶やかないでたちは、演奏家としてのアイデンティティみたいなものと切り離せなくなっていると思います。
 美男美女の音楽家に人気が出るのは、ある意味当たり前。でも、それだけじゃない部分があるような気がしているんです。たとえば東儀秀樹さんや佐渡裕さんについていえば、人間としてのカリスマ性やオーラがすごい。それと、すごく大衆性を意識しているところがある。葉加瀬太郎さんの場合は、いわゆる美男の枠にはまるタイプじゃないんだけど、大衆性があるところと、カリスマやオーラっていう部分では東儀さんや佐渡さんとも共通しているし。演奏がすばらしいのは当然だけど、さらに美貌でもキャラクターでも雰囲気でもいいから、何か人間としての存在感を強烈に感じさせて、音楽を身近なものとして語りかけてくるパワーがある人が、幅広い支持を得ているんじゃないのか。・・・とか、ここ最近考えています。
 実社会でも、派遣社員でもルックスのいい人はどんどん仕事が決まると日経新聞に書いてあって驚きましたが、そういう部分はあるのでしょう。肉体の市場価値にシビアに序列がつけられるのが現代社会なのだなあ。でも、いわゆる美男美女でなければ第一印象で好感を持ってもらうことは不可能なのかといえば、そうでもないんじゃないのか。そのあたりの微妙なところが、きっと音楽家の「売れ方」にもあらわれているような気がするのです。