音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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脚線美を見てしまったあとに

 学校の先生をしていたときと今、いろいろなことが違ってきていますが、ひとつには、ものすごい美人でスタイルのいい人とか、ものすごくハンサムな人に会う確率が高くなりました。とはいえそんなにねんがらねんじゅう遭遇するわけではありませんが、やはり、音楽家とその周辺には、普通に生活していたらめったに会わないような美しい人々が結構いるものなんです。
 私自身のことをいえば、見た目については相手に不快感のない程度に清潔感があれば、あとはそれなりでいいので気楽なものです。・・・と普段は気楽に構えているのですが、この前あるスタイルのいい女性を見てから、ちょっと考え込んでしまっています。その女性はジーパンをはいていたのですが、太ももが信じられないぐらい細くて、ふくらはぎとたいしてかわらない細さでした。ちょっと遠目に見ると、おそろしく足が長く見えました。外出着としてのジーンズというのは、こういう超スタイルのいい人が、自分の足の美しさ、細さを誇るためにはくんだなぁと、つくづく思ったものです。
 どうもその後、そのナイスバティな女性と自分を比較して、「あーあ」とため息が出ることが続いていて(笑)。でも、食欲の秋で、あれこれ食べたいものはいっぱいだし。そもそも最近、おいしいものは食べられるときにちゃんと食べておかないと、いつ死ぬかわからないのだという変な切迫感が出てきてしまっているのに。少しでも美しく見られたいといという欲望と、おいしいものを食べたいという欲望が、ケンカをしているわけですね。
 ファッション雑誌なんかめくると、グルメのページとダイエットのページが同じ雑誌に同居してて、両方は無理じゃないの? と笑いたくなってしまいます。そして今日、社会学の本を読んでいたら、こんなふうにさまざまな欲望をあおる社会的構造について延べられていました。資本主義では、消費者の購買意欲を拡大させるために、たえず物質的欲求を刺激し、膨張させる。テレビや雑誌は、欲望をかきたてる。欲望は誰にでも平等に配分されるけれど、階級社会である以上、欲求を満たすのに必要なお金は不平等に分配される。そして多くの人は慢性的な欲求不満に苦しみ、断念できない人は非合法なやり方、つまり犯罪に走る。これは、デュルケムの考えた「アノミー」、つまり社会規範が人々をコントロールできない無秩序状態のことをいうのだそうですが。
 現在のわたしは、まさにこのアノミーに陥っているのでしょう。別に足の太さが変わったからって、今後の人生たいした変化もなさそうなのに、まったく、欲が深いもんだ。自分でも笑ってしまいます。・・・と書いているうちに、だんだんどうでもよくなってきた(笑)。よし!