ギリシャ旅行の話、つづきです。
今回、娘には、日本の普通は世界の普通じゃないこともあるってことをわかってほしかった。
いまの中学生は「どうだったの」と質問して「フツーに」という返事が多いようで、私の娘も同じです。「あなたの普通ってどういうのかお母さんにはよくわかんないんだけど。説明して」とかつっかかっていた私もおとなげなかったですけど、あまりに「フツーに」というので本当にイライラした時期もありました。フツーに、という言葉が、自分の半径1メートルが世界であるというような視野の狭さに見えて仕方なくて。
人と人とのつながりとか、食べ物を食べておいしいねって思うこととか、赤ちゃんを見てにっこりするとか、うれしくなると拍手するとか、そういうのは国が違っても同じなのだけれど、
同じでないことってたくさんあります。
今回の旅行でとてもわかりやすかったのは、トイレ。
羽田ではウォシュレットつきのきれいなトイレ。もちろん無料。
飛行機に乗ったらウォシュレットなし。
ギリシャについたらトイレの流れがよくない。紙がものすごいごわごわ。ギリシャでは普通。
トルコのエフェソス遺跡に行ったら、大理石かな? 石にずらっと穴をあけたプライバシーのないトイレのあとがそのまま残っていました。仕切りがないのが当時は普通。
サントリー二島に行ったらトイレの前にはおばあちゃんがいて1ユーロ払う有料トイレ。これもヨーロッパでは普通。
アクロポリスのトイレに至っては便座がなし。腰をうかせてスクワット状態を保つ必要があります。便座がないっていうのも国によってはよくあること。
他にもいろいろありました。今回乗ったのはギリシャの船。私たち家族はアメリカの船にしか乗ったことがなかったため、とにかく段取りの悪さと時間のルーズさに呆れました。まず出港が1時間半以上遅れてミコノス島の到着もその分遅れ。ツアー客が遅くなったから遅らせたとか。寄港地での下船の時間のかかるのろのろした手際の悪さといったら。
日頃、満員電車が数分刻みに来て何万人もの人が整然と移動していくのが当たり前の国に住んでいる私たちにとっては、たがだか1000人や2000人ぐらいが船から降りるのに、なんで1時間以上待って長い行列を作らなきゃいけないのか、とつい思ってしまう。
何時に集合、といわれて集合していても遅れてくる人多数。日本人はみな時間通りでした。そう、日本のように時間にきっちりしていない。日本の当たり前は世界の当たり前ではない。そこで今回発見でしたが、アメリカってきっちりしていたんですね。
日本より雑だよねといつも思っていましたが、ギリシャよりも全然時間通りだしシステマティックです。アメリカは。
でも、食べ物はギリシャ、おいしかったし、人々はみな愛想よくて感じがよく、景色は素晴らしく、アーティスティックなインスピレーションに満ちている。そして、アメリカ資本のお店がとても少なかったです。都会にスターバックスがあったけれど、いわゆる巨大モールみたいなものやウォルマートみたいな巨大スーパー、目に入らなかった。日本のほうが相当アメリカナイズされているのだなと思いました。
ギリシャ、アメリカ、日本、それぞれ得意な土俵は違うなぁ。と、数日過ごしただけでも、痛感するものがありました。旅行に行くならギリシャだけど。
旅のあいだ娘と「え??日本じゃありえないね。ま、海外に出たらこういうこといっぱいあるよ」
と何度となく会話しました。
羽田空港に帰ってきて、羽田のウォシュレットつきのきれいなトイレに行ったとき、ほっとしたなぁ。
飛行機の窓から見た関西空港と大阪。
住むなら日本が好きなんです。でも、日本が普通と思ってしまわないようにしたい。