音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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ネガティブな話をブログにどう書くべきか

アメリカから帰国して2年。ようやく本が出せたので、ピアノの先生向けのライティングレッスンを募集したところ、早速、千葉県木更津で教室を開いているピアノ講師、萩本亜矢先生が応募してくださいました。

自分の気持ちをどこまでブログに書くか、というお悩み。

ポジティブな話はいいんです。まあ、自慢になりやすいっていうのはありますが、とくに難しいのはネガティブな話をどこまで書くか。
このお題をいただいて、難しいことにも逃げずにきちんと向き合おうとする姿勢に、亜矢先生のものごとの見る目の深さや、誠実さを感じました。


ネガティブな話題は、書かないという方もいらっしゃいますね。それはひとつのスタイルだし、それが浅い、というものでもないでしょう。

ですが私の好みとしては、陰影があるほうがひかれるのです。

だって、毎日、そんなうれしいこと、楽しいこと、うまくいったことばっかりなわけがない。よく駐在妻のブログであるのが、楽しいことだけ書いてあるので、ものすごく優雅な生活を送っていると読者が誤解するパターン。もちろん楽しいこともありますが、想像を絶する苦労については、なぜか触れない人も少なくない。たぶん、自分がみじめになるから書かないのだと思います。私はわりと書いてましたが、それは、私はライターなんだという勝手な思い込みがあり、今どんなにみじめでも、ライターなんだというその思いだけで、みじめな現状に負けない自分として堂々と文章に出来ましたが、それがなかったら、楽しいことだけしか、ネット上で宣伝する気には、とれもなれなかっただろうなあ。いや、楽しいこと、いっぱいありましたけどね。もちろん。それに、逆に、駐在妻生活の愚痴だらけ文句だらけのブログというのも実際拝見することがあり、それはそれで読んでいて本当にこちらも重い気分になってきて、いや〜なオーラが伝染してくるかのよう。そんなものは読みたくない。

じゃあどうしたらいいのか。どう書けばいいのか。実に難しいです。

そこについて、過去のブログ記事について、添削をさせていただき、さらに今日は実際にお会いしていろいろお話するうちに、ひとことではいえない、一筋縄ではいかないこのテーマについて、さまざまな角度から、一緒に検討してきました。

ひとついえるのは、ただネガティブなことがあって、いやだった、腹が立った、そういった自分の感情だけ書いてスッキリするための文章は、読者は「やなことがあったんだ。それで?だから?何もないのかぁ」と、ただ、嫌な感じだけが残ります。そういう自分のストレス解消的な記事は、私は書かないようにしています。いやな出来事の背景に、なにか構造的な問題が見えて、それを問題提起したいとか、困ったことがあったけれど工夫と試行錯誤の末にそれが解決したとか、「だから、こう」という、書くだけの何かができたら、書く、といったところです。

やってみて思いましたが、これは大学院の修士論文作成に向けた教授と学生の一対一指導のカジュアルバージョン、もしくは新米ライターにいろいろ教える編集者との打ち合わせみたいなもので、いまさら大学院に入りなおしたり新米ライターから始めるわけにもいかないけれども、そういう訓練を受けたい人にはいいかも。次のクライアントさんもいらっしゃるので、とても楽しみです。