音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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室内楽レッスン4回目

今日は室内楽クラスの4回目でした。

編成はいつものピアノトリオです。クレンゲルソナタ3楽章は、軽快なメロディを弦が弾いていく裏で、16分音符でタカタカタカタカとずーっと分散和音をひたすらピアノが弾きます。

ここ1週間ほど、腰を悪くして寝込んでいたので準備は万全ではなかったですが、いざとなったら左手だけ弾いていればいいやという覚悟で弾き始めました。なんとかヴァイオリンとチェロと最後まで無事通せてほっとしました。

弦とめちゃくちゃ合わなくて困る、というようなことがなくなってきました。普通に一緒に流れていける。パニックすることなく、聴きながら弾ける。私が中学に合唱部でずっと歌の伴奏をしていたとき、そして中学校で音楽の授業で生徒たちの合唱の伴奏をしていたとき、歌にあわせて、リズムを強調したり、一緒にメロディをなぞったり、一緒に休んだり、ピアノだけ先に出たり、ピアノと歌が掛け合いしたり、あの感覚の延長に室内楽もあるようです。

分散和音で、拍の頭にある音がメロディになっているから強調するパターンというのがピアノでは年がら年中出てきますけど、今日は、その強調すべきメロディをチェロやヴァイオリンと一緒にユニゾンしたりハモったりできて、それがすごく幸せでした。

なんかうれしい〜と思いすぎて、最後の「じゃん、じゃん」と決めるところを、八分音符なのに、すごく長く弾いてしまったのですけど。それに、先生によると16分音符のタカタカを弾きながら前後に揺れていたそうで、それで妙な「うねり」が出ていたらしい。意識して横に流れていく、縦ノリを排除して弾くようにしてみましょうというアドバイス。16分音符でタカタカ動いているとなんかノッてしまいすぎて、クラシックにしてはうねってしまっていて、流れがスムーズでなくなっている気が確かに自分でもしてきました。うーん勉強になりますね。クラスにいく前の準備ってけっこう孤独だししんどいし、行くべきかどうかいつも悩むのですが、行くと行ってよかったなと痛感します。

なんといってもチェロとヴァイオリンの先生おふたりの音がすばらしく、トリオで演奏させていただけるというだけで、幸せですね。でもピアノトリオだと、ピアノは、リズムセクション的な役割と、和音をきっちり出していく役割があって、ある意味、支えなくちゃいけないし、拍子感も弦をリードするぐらいのものが求められるわけで。そこまでできればいいのですが、まだまだ。

2楽章も通しました。指導してくださる松本裕子先生は、まず通したあとに、いつも何か良いところを探してまず言ってくださって、それがかなり1ヶ月とか2ヶ月のあいだ、心の支えになったりするんですけれども、今日は、「ピアノがソロで聞かせるところと、伴奏にまわったところで、音色や音量がサッと切り替えられていたのがとってもよかったです」と。何もそういうことをしなくちゃ、という頭もなく、ただ弾いていただけで、そのようなお言葉をいただき、かなり驚きました。

ただ、聴けるようにはなってきていたので、要するに、聴けてくれば、音量バランス音色バランスなど、無意識に瞬間的に指先で調節できるようになってくるものなんでしょうね。ああしようこうしようという意識はなく、自然に。長期記憶としてこれまで蓄積してきたいい音楽たちが「こうあってほしい」というモデルとして自分のなかにあって、いま鳴っている音をとらえる意味での聴く力がまた別に働いて、そしてうまくいったのかな。聴けるようになると、ほんとうに、便利というか、勝手いにうまい具合にいい音楽になるんですね。これが瞬間的局地的でなく、いつもできるようになれば、それが「うまくなる」ということなのだろうな。

室内楽、学ぶことがまだまだたくさんあります。