音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

セミナースケジュールはこちらです。 山本美芽オフィシャルサイト

急激に聞こえ方が変化し、演奏も変わっているらしい!?(私が)

先週、室内楽のトリオクラスがありました。

レンゲルソナタ2楽章を持っていきました。いつもわりと、お約束的によくやっているのが、チェロとピアノ、ヴァイオリンとピアノなど、パート数を減らしての合わせ。聴くのがぐっと楽になるんです。

そのとき、チェロだけとあわせていたら、最初はうまくいかなくて…いきなり一緒に出て、ふたりで長く伸ばす箇所。拍をどう感じているのか、一緒に入って一緒に伸ばして一緒に切らなければならない。めちゃくちゃ難しいんです。するとチェロの詩織先生が、弾く直前に「息、吸いましょう」といってくださって。一緒に息を吸って出たら、うまくいきました。なるべく息を止めないように、チェロを聴きながら、チェロとともに歩む感じ。ふたりで伴奏パートをつくりあげて、ヴァイオリンを支えられるように。

ずっとではないのですが、チェロと一体になって弾けたなと思う瞬間があって、とても気持ちが良かったです。まるで浮いたり沈んだりしているようでした。浮いているのは合ってない感じで、沈んでいると、完全に同化できたなというような。

すると指導されている松本裕子先生が、「いいわね」とほめてくださいました。私は何がよかったのかキツネにつままれたような…、よくわからず。

そしてヴァイオリンも入ってもう一度あわせると、なんだか弾きやすい。でも弾き終えると、チェロとふたりのときのほうが良かったんだとか。弾きやすいと思ったのは、メロディを聴きながら伴奏を弾くのが楽だったのだろうなあ。でも、演奏としては、チェロをききながらひとつのいい伴奏をつくることのほうがいいのかも。詩織先生が、「チェロを聴いてくれているときと、そうでないときで、ピアノの音色が変わるので面白いですね」と。

えっ!? 音色が変わっていた!?? 自分では自覚がなさすぎ…もうよくわからない!!!

多喜先生のレッスンでも、室内楽でも、よくあることなんですが、「いまのよかった」という評価が、自分の評価と食い違っていることが多くて、すごく戸惑います。

何がどうなっているのか、いまいち整理できてない。けれど、レッスンの最後に「上達してますよ!」と松本先生に言っていただいて、まああまり迷わず進めばいいのか?? どうもすっきりしなかったのでした。

そして今週、多喜先生のところで、またラヴェルソナチネを聴いていただきました。締め切り続きで練習もほんとに進んでなくて、どうしよう状態で弾き始めたのですが、ひとつ、テンポが速すぎだったのを少し落としました。レッスン前日に、中井正子先生のラヴェル全集のCDが届いたので、急いでソナチネだけ聴いたら、1楽章も2楽章も、私、テンポが速すぎたことが判明。中井先生のテンポを頭に描きつつ演奏しました。

いろいろ気になるところはあって、必死に弾いていました。でも、なぜか、ピアノの音がいつもより、よく聞こえるような気が。少しだけどコントロールもきいた気がした。そう、詩織先生のチェロと、うまく合った時と、同じ感覚。

1楽章、弾き終わったら、多喜先生は「すごくよかった!!」と、こちらがキョトンとしてしまうぐらい喜んでいらっしゃいます。何? 何がよかったの?? 

いまいちよくわからないまま、2楽章を弾き、2楽章は1楽章ほどうまくいかなくて(笑)、2楽章を、メロディ部分だけと、メロディ以外にわけて演奏してみました。メロディを多喜先生が一緒に隣のピアノで同じ音で弾いてくださって、スタインウェイとベーゼンが響きあうのが、すごく気持ちよかったです。そして伴奏部分だけ弾こうとしたら、あまりの難しさに、もう、止まるわ楽譜を凝視するわで、なんという難しさ。左手だけならいいんですが、右手のメロディだけ抜いて弾くのが…こんなに難しかったなんて。ひええええ。これができないから、なんだか細かい部分がよく聴けてないんだな。

ということで、今回、実はチェルニーはさぼってしまったんですけど、無事にレッスンは終了しました。

そして、室内楽でも個人レッスンでも、何がよかったのか考えて続けていました。

どうも、私自身、音の聞こえ方が変わってきているような気がするんです。詩織先生のチェロとぴったりあった感じが、ひとりでピアノを弾いているときにも、ときどき出現するんです。まだ、スイッチを入れるようにいつでもはその感じになれなくて、不安定なんだけど、弾いている最中に、ふうっ、ふうっと、氷の上を滑ってあるエリアに突入するように、そうなれる瞬間がある。

室内楽を始めると、耳が開いていくんだと多喜先生に聞いてはいたのですが、それなのか? 室内楽をはじめるとピアノが急にうまくなるとかいう話もこれですか? 

っていうか私ほんとに今月、連休中は9日間ピアノを弾いていませんし、1週間に3時間ぐらいも弾けてなかったのに(超爆)…、必死に練習して練習時間が多かった月よりも、演奏が向上したとは、いったいどういうことでしょうか。

これが室内楽効果だとしたら、すごすぎます。何かの回路が脳内に生成されつつあるとしか思えません。そして妙に何を弾いても楽しくて練習がやめたくない感じ。果たして、このまま上昇気流に乗れるのか!?

ラヴェル ピアノ作品全集

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ピアノピース ラヴェル ソナチネ

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