音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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弦と合わせるには、ふわっとした音の柔らかいフォルテが必要

多喜先生の室内楽クラスには、トリオで5つぐらいの段階別クラス、ヴァイオリンのデュオ、チェロのデュオクラスなど、いろいろな種類があります。きのうは、ヴァイオリンのデュオクラスの聴講に行ってきました。

ヴァイオリニストで指揮者の阿部真也先生が弾いてくださるのに合わせて、ピアノパートをどう弾くか、多喜先生と阿部先生ふたりが指導していきます。

ひとり20分、4人で1コマのグループレッスンを聴きました。

ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ「春」を弾く方が2人、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ1番を弾く方がひとり、そしてフォーレの「シチリアーノ」の人がひとり。おそらくみなさんピアノの先生をされている方々です。ベートーヴェンソナタはやたら長くて弾くのが大変そうだなあ。でもいい曲! 素敵! 私もやりたいなぁ…と思いながら聴いていました。

阿部先生の音、いいなあー。ビオラ奏者でもある阿部先生の音は、深みがあります。キンキンキラキラというよりは、空のように海のように広がっていく感じです。ヴァイオリンがピアノの伴奏にまわる箇所などのリズムの取り方が素晴らしく、こうなってるのか〜と興味津々で聴いておりました。ターンタタンというリズムひとつとっても、真ん中の音符を目立たせて弾くのか、さらっと流すのかというニュアンスの違いをヴァイオリンで弾いて、「こっちでいきたいので」など説明してくださいます。…ピアノでメロディを弾くとき、そこまで考えてコントロールできてたかなあ、私。いや、できてない。ひええええ(冷や汗)

ヴァイオリンとあわせるときのピアノ奏者の課題はいろいろありますが、この日とくに何度もでてきた課題が「ふわっとしたフォルテ」をピアノで出すことに慣れていない、ということです。「打鍵スピードが速いのよね。そういうフォルテもあるんだけれど、ここのヴァイオリンのフォルテはもっとふわっとしたフォルテだから、ピアノもそういう音色に合わせたい」と多喜先生は指摘していました。

しかしピアノソロを弾きながらそういう切実な問題に迫られることはあまりないわけで、阿部先生のヴァイオリンが鋭いフォルテにやわらかいフォルテと、音色をいくつも使い分けているからこそ発生するというか、認識され浮上した問題ともいえます…(冷や汗)。わざわざヴァイオリニストをお願いして合わせることで、こうした勉強ができるんですね。プロの奏者と一緒に演奏するなんて、上達するための最短コースですから、参加者が集まるのもうなずけます。

拍子感のことは、やはり何度も確認がありました。レッスンのあとに、何か質問があればどうぞ、っていって下さったので、拍子感って大事ですよね?? と質問させていただきました。そこで阿部先生が「結局、拍子感っていうのは、呼吸しているってことだと思うんですよ」とおっしゃったのが印象に残りました。呼吸が止まってしまうと拍子も止まってしまう。呼吸が続けば拍子も流れていく。まさに、そのとおりですね。難しいところを緊張して弾いていると呼吸が浅くなったり息が止まったりします。

そういう箇所ももちろん場所によってはアリかもしれませんが、基本的には呼吸をしながら、その呼吸が拍とともに進んでいく、というような感じなのでしょうね。

うーむ、しかし、弾くほうが超・余裕でないと、合わせるのはしんどいなと最近痛感しています。トリオクラスの課題曲、クレンゲルソナタの2楽章、もっと練習しないと…まずい!!!!