音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

セミナースケジュールはこちらです。 山本美芽オフィシャルサイト

飽きるのが一番よくない。急にラヴェルをはじめたわけ

今日のレッスン報告その2です。モーツァルトソナタ第10番を2ヶ月ほど弾いておりまして、1楽章がだいだい仕上がり、2楽章を譜読みしていました。でも、なんか、飽きちゃったんですよね(爆)。どうも「ああああ弾きたい」という衝動がしぼんできてしまっている。

レッスン10日前ぐらいに、ラヴェルソナチネもいいなーと思って弾いてみた。この前、中井先生の講座でも勉強しましたからね。すると、なんとまあ、指がいちおう動くではありませんか。12月の時点では絶対無理だったと思うのだけれど。あっ、チェルニー30番の13番。あれって右手の小指でメロディー出して、123あたりの指でちまちま刻み。ソナチネの1楽章の音型と動きが似ている。交互に弾く。うわ、似てる。

これ、弾きにくいと思った13番をまじめにやったおかげで、ラヴェルソナチネの1楽章が、思いのほか、すんなりと指がもつれず弾けたじゃありませんか。いや、もつれ箇所もあちこちにあるんですが、どうにかなりそう。

しかし1日1時間も練習もしてないくせに10日ぐらいでレッスンに持って行けるのかなあと思っていたら、速くてごちゃごちゃした部分は、提示部と再現部ではほとんど同じだから、提示部のところと、展開部のところを練習すれば、あとはなんとかなるかな? 難所をピンポイントで攻略。すごい無謀と思いつつ、こんなふうにレッスン直前に、曲を変えちゃいました。

先生にまず相談。「実は、モーツァルトも練習していたんですが、なんだか飽きてしまったので、ラヴェルソナチネをやってみたんです…。こちらのほうが難しいんですが、楽しくて、やる気が出てしまいまして」

「やる気が一番大切よ。モーツァルトはまた機会を見て続きをすればいいんじゃないかしら」といっていただきました。

まだ譜読みもところどころあやしいのですが、聴いていただき、「いいじゃない。これ、全楽章仕上げましょう」と言っていただいて、うれしかったなあ。ラヴェルの和声はものすごく好きだし、しっくりくるし、自分らしいし、長年あこがれてきた音楽…だなんて先生には説明していなかったのですが、それが、まだ傷だらけの状態だけれど、音で伝わったような気がして。

そして、フレーズ感、フレーズの終わりを「とる」、ということを1楽章で徹底的にやりました。手の甲の位置が高いか低いか、というようなことですべて説明がつくわけではありませんが、先生は、「お習字」を例に説明してくれました。習字の「はらい」のようなフレーズの終わり方。「止め」のような終わり方。それぞれ手の上げ方は違ってきます。どっちかというと「はらい」的なフレーズの終わり方が多かったかな。そうしてフレーズが終わった瞬間に、ペダルも一瞬、完璧にあげて切る、というのが案外できていなくて、それも課題でした。

「飽きたから曲を変えるなんて、あれもこれも、ぱらぱらつまみ食い的になってしまっていいのかな、と、不安なんですが」

と相談したところ、

「もちろん、年に何曲かは、きちんと仕上げたほうがいい。でも、全部の曲をきちんと仕上げていると、曲数がこなせなくなるんです。つまみ食いでたくさんの曲を弾くことから学ぶことはすごく多い。だから、両方をバランスよくね」

というお話でした。とにかく、私の場合、別に何を弾いてもいいわけだから、「飽きたな」と感じたら、さっと、熱中できる曲に変えた、これは正解だったようです。さて、ラヴェルソナチネ、3楽章まで飽きずに練習できるでしょうか、私は。これが仕上ってステップに秋ごろに出られたらいいな。春は無理だけど。

ラヴェル:夜のガスパール

ラヴェル:夜のガスパール

ピアノピース ラヴェル ソナチネ

ピアノピース ラヴェル ソナチネ