音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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中井正子モーツァルト講座 カワイ表参道2011年9月9日 

ピアニスト中井正子先生の生音を、日本に帰ってきてからずっと聴くチャンスがなく、ようやくセミナーに行って聴くことができました。

曲目はモーツァルトソナタトルコ行進曲の入った作品331を中心に教えてくださいました。

セミナーではあるけれど、演奏してくださる時間がとても長いのです。音のひとつひとつがため息が出るほどきれい。きれいなだけじゃなくて構成も素晴らしい。中井先生のモーツァルト、聴くのは初めてでしたが、すごく素敵で、おいしいお菓子を食べているような幸せな時間が流れていきます。そうそう。ジュ・ペルレ、真珠のような音のモーツァルトの音階。これを生で、いいピアニストの演奏で聴くと、寿命が延びる気がします。

ホールもいいけれど、グランドピアノのすぐ近くに座って、先生もゆったりと構えてお話しながらの演奏。よくない例と、よい例の違いを実際にやってくださいます。

左手のバスを響かせるけれど、ドスンといかないとか。

同じフレーズでも、指を立てたときと、寝せたときの音色の違いを聴いて、ここではこっちね、とか。

かなり細かい違いを丹念に「ここは、こういう理由で、こうあるべき」「これは違う」と実演してくださり、この「違い」がききとれるかどうか、ちょっとドキドキしました。いちおうわかったのでほっとしましたが。

ちょっと詳しめにお話されていたら、このソナタだけで、1時間半以上が経過。先生の集中力はものすごいです。瞬間的に考えていることを言葉と演奏で説明していくと、これだけの時間が必要になるわけだから、いやあ、すごい!!

ハーモニーの流れと音楽の流れとか、全体の構成とか、ほしい音色と指の形とか、前のフレーズと次のフレーズでの移り変わりとか、膨大なことを頭に入れて弾いているんですね。

リサイタルもいいけれど、セミナーでお話を交えながらの演奏、先生もリラックスした感じ。勉強よりも演奏が目当てという不純な動機の私でしたが、終わったらモーツァルトソナタ、練習したくなりました。

ちなみに楽譜は、ウィーン原典版、それも最近出た新しいものは以前と変わっているので、それがおすすめとのこと。私自身、学生時代に先生からは春秋社の井口版を使うようにいわれてひととおり揃っちゃいましたが、今はいろいろ研究も進んでいるので、ショパンモーツァルトベートーヴェンも、主だったところから全部買いなおしています。

ウィーン原典版(226) モーツァルト ピアノソナタ集1 新訂版 (ウィーン原典版 (226))

ウィーン原典版(226) モーツァルト ピアノソナタ集1 新訂版 (ウィーン原典版 (226))

今回使ったのはこちらの楽譜。

ウィーン原典版(227) モーツァルト ピアノソナタ集2 新訂版 (ウィーン原典版 (227))

ウィーン原典版(227) モーツァルト ピアノソナタ集2 新訂版 (ウィーン原典版 (227))

ベーレンライターも見比べる必要はありですが、研究用なので、弾くときはウィーン原典版のほうが良いようです。

ベーレンライター原典版47 モーツァルト ピアノソナタ集1 (ベーレンライター原典版 (47))

ベーレンライター原典版47 モーツァルト ピアノソナタ集1 (ベーレンライター原典版 (47))

ベーレンライター原典版48 モーツァルト/ピアノソナタ集(2) (ベーレンライター原典版 48)

ベーレンライター原典版48 モーツァルト/ピアノソナタ集(2) (ベーレンライター原典版 48)

来月の中井先生の講座はショパン幻想即興曲とワルツ!! 楽しみです。