音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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ピアノランドフェスティバル@大田区民ホールアプリコ 2011年8月24日

きのうはムジカノーヴァの取材で、ピアノランドフェスティバルに行ってきました。

毎年行われるこのイベント、はじめて行きたいと思ったころには娘がまだ赤ちゃんで外出困難、そのうち渡米してしまい、
やっと今年初めて行けました。

レポートはムジカノーヴァの今月末締め切り、9月発売の10月号に載せていただきます。

なのでレポートはそっちに書くということで。

改めて驚いたのが、ピアノランドの集客力のすごさ。

だってこのホール、大ホールなんですよ。10月には、小曽根真さんとノーネームホーセズの
みなさんのビッグバンドのコンサートがあるほどの大きさなんですよ。

ピアノランドっていうピアノの教則本を習っている東京地区の子どもたちが、本を作ってくれた作曲家の樹原先生の演奏を聴くために夏休みの平日に集まっちゃおうという人数と、

小曽根さんのビッグバンドが、

同じホールなんですよ。

もちろん、純粋に聴くタイプのコンサートと、日ごろ自分が練習している曲が聴けて勉強になって今後の予習にもなって楽しいコンサートでは、性質も違います。

しかし、ツイッターやブログでジャズミュージシャンたちの「お客さんがなかなか集まらない」という嘆きを日々読んで「ほんとうにどうにかならないものか」と心を痛めている私としては、
大ホールが埋まっていて、しかも全国9箇所でツアーしている、というこのピアノランドの集客力は、本当にすごいと改めて感じます。

もちろんミュージシャンのやりたいことを追求する素晴らしい芸術が聴きたいけれど、そっちへの供給が、やや過剰なんじゃないでしょうか。

いっぽうで、やはり、プレイヤー、学習者、音楽を勉強する子どもたちとその家族の音楽学習をう応援するような、聴きに行って帰ってきたら、やる気が出てがんばれちゃうような、そんなコンサートは、供給が不足しているのでは??? やや体験型というかイベント的というか、そっち系のコンサートが、足りないのではないでしょうか。

今回わたしはピアノランドフェスティバルに娘をどうしても連れて行きたくて、編集部にお願いして子連れ取材とさせてもらいました。どうして連れて行きたかったって、それは、うちの娘にもピアノランドやピアノランドコンサートの曲はいくつか弾かせているので(ピアノランドコンサートの「カンガルーのニーナ」が好きなんです)、お手本となるよい演奏を聴かせて、耳を育てたいからです。

まあそれは、言い換えれば、「ピアノランドフェスティバルに行って帰ってくれば、もしかしたらいまよりも多少練習に熱心になってくれるんじゃないか」というような淡い期待もありますね。今日の様子ですと、あまり劇的な効果までは至ってませんでしたが、とりあえず「うん、ピアノやる」といってさくさく練習をはじめていたので、効果はじわっと効いていることを期待。

とにかく子どもに練習させる親と教師の労力って想像を絶しますので、コンサートに行くぐらいで何かが改善されるとしたら、親も今回のピアノランドフェスティバルの「3000円」だったら、チケット代はがんばって払うと思うんですよね。

子どもに練習してもらいたいから連れて行く、などという書き方は、不純なような感じもありますが、楽曲のクオリティが高く、樹原先生がシンガー・作曲家・ピアニストとしてマルチな才能を持っているから可能になるコンサートでもあるわけですしね。

いきなり話は飛びますが、今度来日するチック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエバー」の前宣伝みたいな番組を録画して先日見ていました。チックが、「それまでのジャズは、お客さんに対して一方的に演奏していた面があったので、もっと聴き手とコミュニケートできる音楽をやりたいと思ってはじめたのがリターン・トゥ・フォーエバーなんだ」と話していました。

そうそう。コンサートに行って「なんかすごかったような気がするけど、いまいちよくわからなかった」って感じで帰ってくるの、寂しいです。そうじゃなくて、客席が自分の居場所だと感じられるようなコンサート、そういう音楽が大事です。

集客力って、そういうことじゃないかな、と感じた今回のコンサートでした。

ピアノランド コンサート 上-1 カンガルーのニーナ

ピアノランド コンサート 上-1 カンガルーのニーナ

ピアノ曲集 こころの小箱

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バック・アット・ザ・クラブ“イン・トリビュート”

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リターン・トゥ・フォーエヴァー

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