音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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削られていた日常が戻ってきて

日本に戻ってから、明らかに、私は、らくになりました。やらなくちゃいけないことが減ったのです。

まず、夕食の準備にかかる時間が大幅減。アメリカでは1時間半かかっていたのが、30分で楽勝。日本のスーパーで日本食の材料を買って日本で料理するんだから、かんたんかんたん。

娘の日本語の宿題をやらせなくていい。アメリカでは、毎日、これだけで1−2時間はとられていました。日本語は日本の小学校でちゃんと教えてもらえる。あれだけ漢字が覚えられなくて苦労していた娘が、習っていない漢字を最近あれこれ読めるように。テレビを見ているだけでも、電車に乗っているだけでも、買い物で町を歩いているだけでも、漢字が膨大な量、目に入ってきます。自然と、熟語を覚えてくれます。

娘の小学校の送り迎えが不要。アメリカでは小学生のうちはすべて親が送り迎えです。それが、家にいて、「ただいま」と帰ってくるのを待っていればいいのです。これで、1日に30分は浮いています。

トータルすると、1日あたり、2−3時間は、やることが減ったことになります。娘には英語の勉強をやらせたりと、アメリカではやっていなかったことも発生していますが、それでも、アメリカの現地校の進度で詰め込む必要がないので、ぜんぜん楽です。その浮いた時間でいったい何をしているのか。何をしているわけでもないのですが、下の子を構ってやれる余裕はずいぶん出てきました。

それと、アメリカにいたときは、とにかくソファに座ってテレビを見る時間がなくて困っていました。それが、日本にいると、ゆっくりと…というわけにはいきませんが、ちょこちょこと見ています。「早くしなさい!!」「まだやってないの!!」と、私がぶち切れて娘をしかる回数も、アメリカにいたころの10分の1ぐらいで、家の中がものすごく平和です。

しかも土曜日が自由。これまで土曜日がすべて日本語補習校でつぶれていたので、休日が倍になりました。

1日でトータルで2−3時間、プラス土曜日。この時間は、日本語がぐちゃぐちゃにならないようにしたうえで、英語をアメリカで学ぶためのコストだったんでしょうね。

アメリカではかけがえのない経験ができたし、子どもたちの発音は、ネイティブ並みになりました。でも、そうやって毎日削られていた毎日のなにげない時間が、実はすごく大事なものだったのではないか。子どもたちも、私も、そうやって時間を削って、すごく大事なものを犠牲にしてきたんじゃないかというような気がしています。引き換えに、英語は手に入りました。だけど、これからどうするかを考えたとき、少し、これまで犠牲にしてきたゆっくりとした時間を、取り戻したいと、真剣に思います。

英語の維持のために、アメリカにいたときの日本語のような勢いで子どもたちを英語漬けにするのも、素晴らしいことかもしれませんが、今はどうしても、そういう気分になれないのです。家族で過ごす、何気ない、のんびりした時間が、どれだけ貴重なものなのか、いま、しみじみと味わっています。