音楽センスを伸ばしたい!

音楽ライター山本美芽による、ピアノレッスンに関する取材日記です。

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駆け足で見たニューヨーク(2)

ニューヨーク観光の2日目は、船を下りる日です。まず、スーツケースを抱えては観光できないので、クルーズターミナルのあるピア88の前から、タクシーに乗ってシュワルツという荷物預かりやさんに。普通のぼろっちい5階建てビル。エレベーターが動いたり止るときに「ドンッ」という衝撃があり、キーキー音がする。築40年以上はいってそうな気配。

5回に降りるとすごく狭い廊下の先にガラスドアの入り口。2人組の先客が待っている。「なんだか留守にするって張り紙があって、15分前から待ってるんだけど戻ってこないのよ」…私たち、10時半から2時ぐらいまでしか観光時間がないのに。どうしよう…。外は暑くなかったのにこの5階はすごく暑く空気も悪く、窓がどこにも見当たりません。うーむ、これがニューヨークなのか。そうしているうちに、エレベーターから1組、2組と年配のカップルが降りてきて、今度は私たちが事情を伝えるとみんなショックな表情。

文句をいってもはじまらない。とにかくしばらく待ってみようということで、10分ぐらい待ったでしょうか。お店のお姉さんが帰ってきました。何時間でも関係なく、1日預かりで、スーツケース2つとボストンバックを預けるのに40ドルでおつりがきたでしょうか。まったく、こんなことでなぜ40ドルも…。「ニューヨークって、いるだけでお金をじゃんじゃん使うようにできている街だって、誰か言ってたよ」と夫。ほんとにそうかも。

なんとかスーツケースを置いて身軽になったところで、歩いてセントラルパークへ出発。タイムズスクエアに5番街、ロックフェラーセンターをもう一度横目に見つつ。セントラルパークって、木は明治神宮みたいに立派だし、巨大な岩とか大きな池もあり、マンハッタンは平らだったけれどパークの中はちょっとした坂があちこちにあって高低差もあり、実に見事な公園なのでびっくりでした。

子ども用遊具のあるエリアがあったので、そこで子どもたちを遊ばせることに。船にも遊ぶところはありましたが、広い公園はさすがになかったので、ふたりとも大喜びで、すべり台を繰り返しすべり、ぶらんこに乗り、走り回っていました。アメリカ人の子どもたちも大集合で、公園は大賑わい。公園を囲む緑のむこうには、エセックスホテル。あとで調べたらとんでもない超高級なところなんだそうで。公園から見ると、古そうであまり高級そうに見えなかったんだけど、私の目が節穴だったのかなあ。

時間があったらメトロポリタン美術館も行きたかったのですが…今回はあきらめ、リンカーンセンターに向かいます。

http://new.lincolncenter.org/live/セントラルパークからすぐ近く。メトロポリタン歌劇場の入り口に行き、今シーズンのオペラの演目がずらーっと並んでいるのを見て感激。まあ当たり前のことかもしれませんが、シーズン中とっかえひっかえ、ありとあらゆるオペラが観られるんですねえ。http://www.metoperafamily.org/metopera/
なぜ私は今日ここでコンサートが見られないで帰らなくちゃいけないの?? 私の人生、どこでどう間違っちゃったの??? と、頭がぐるぐるしたくらい(笑)。いつかきっと、ゆっくりここでオペラを観られますように。

そのリンカーンセンターにはジュリアード音楽院もありました。ここもボストンのバークリーと似ていて、ただのビルなんですねえ。場所は最高だけれど。ここまで通うには、学生たちはマンハッタンに住んでいるんだろうか? 家賃高そう。メットが目の前にあるから、なんとか安いチケットを探してみんな聴きにいくんだろうなあ。ああ、そういえば、日本でも、上野の東京文化会館の前を通って、芸大に行くんだったっけ。
リンカーンセンターの前には、五島みどりのリサイタルの写真が。おお、われらがMidoriだぁ!! うれしくなります。

ニューヨークに1週間ぐらい来て、オペラ、ジャズ、クラシック、バレエ、ミュージカルと、1日1ステージぐらい聴くっていうのを今度やってみたいものです。チケット代もさることながら、ホテル代が問題だなあ…。

今回はニューヨークの空気を吸っただけで終わりみたいなものでしたが、それでも、歩いているだけでとにかく刺激的なところでした。私は東京も大好きだけど、ニューヨークにもすっかり魅了されました。

今回、私は観光で訪れたので、治安の悪いあたりは一切パスしていますが、いまipodclassicにダウンロードして見ている

プレシャス [DVD]

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って映画は、ニューヨークの貧しいエリアで育った黒人の女の子プレシャスが主人公です。

とにかく悲惨な家庭に育ち、つらい境遇にあり、それを淡々と受け入れていたプレシャスが、学ぶことを知り、変化を始める、というストーリー。都会には、とびきりきらびやかな部分と、目を覆いたくなるような悲惨な部分がある。悲惨な部分に近づいていくのは実際には危険だから、なかなか見るチャンスがないけれど、映画で見ると、かなり貧しい人たちが住んでいて治安もよくない場所もあります。

思い出しても胸が高鳴るような怒涛のようなコンサートだらけの街、その余韻とこの映画が描く痛ましい現実。そしてまた今日も、ニューヨークのことをついつい考えています。